Twitterマーケティングを代表とするSNSマーケティングはただの手段。適しているか否か、まずは3枚におろしてから考えないと|Jigen_1さんの第3弾

  • 関東

今回は企業のソーシャル活用支援を行うJigen_1(@kloutter)さん(以下ジゲンさん)の取材第三弾。「まだまだ言いたいことが山ほどある!」ということで、Twitterを活用して企業が売り上げを上げていくための大枠の戦略の立て方から、具体的な戦術まで、今回もすぐに実践できるような内容を教えていただきました!

Jigen_1さんの過去の取材記事はこちら

第一弾:本当のインフルエンサーとは、自分の投稿をリツイートしてくれる人|ビッグデータを扱うjigen_1さんの語るTwitterオーガニック論とは?

第二弾:口コミ拡散のためにはコンテンツが1番、では2番は何に?|jigen_1さんが語るツイートが拡散する仕組みとは

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ついに第3回目になってしまいましたね。今回もよろしくお願いします!

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たしか以前はフォロー&リツイートキャンペーンでアカウントに蓋をするという話で終わった気が。本日は本題に入る前に個人アカウントのフォロワーをどう増やすかって巷の話題に触れておきたい。私の記事が出てからも様々な理論でフォロワーを増やす方法がTwitterを賑わせていますね。

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140文字目一杯書くとか、ビジネスに役に立つ投稿に絞るとか、様々出ていますよね。

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やってみると実際うまくいったりするものもあります。でも、根本的なところを再度確認しないと「誰でもできる!」と思ったものの、全然フォロワーが増えないってなってしまいがち。それが何故なのか?を解説しておきたい。

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はい、そもそもフォロワーが増える人がどんな人なのかを整理したいです。

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正攻法でフォロワーが増える人っていうのは、たった2種類。

1.コンテンツがある人
2.エゴサーチで名前がたくさん出る人

のどちらか、あるいは両方です。1のコンテンツのある人ってのは、え○みほさんみたいに140字で目一杯書ける人ね。言っておくけど、それでフォロワーが増える人は単純に才能がある。なんの才能があるかっていうと、ツイッターランドの文脈にツイートを合わせることが出来るってこと。え○みほさんなんて、本を書いたらベストセラーで、プログラムできて、起業して、英語喋れて、外資系や大手代理店を渡り歩いて。。。そんなん出来ひんやん普通。

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確かにハンパないですね。え○みほさんってバレバレな気もするのでもう「えとみほ」さんでいきましょうか。

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彼女は別格。140字書けて、それでフォロワーを増やせる人は才能があるから、Twitterを始めたばかりだとしてもフォロワーがすぐに万を超える。ビジネスの能力に比例するって人もいたけど、それはそうかもしれない。でも、普通の主婦でも数万フォロワーの人もいるからね。そういう人は「インシュフエンサー」って呼んでる。

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インシュフエンサーですか(笑)

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彼女たちを30人くらいリストに入れて休みの日に眺めていると飽きないもん、おもしろ過ぎて。天然かもしれないけど完全にツイッターランドの文脈を心得ている。

次に2.エゴサーチで名前がたくさん出る人。言い換えると「炎上を気にしない人」。えとみほさんも「悪い言説を気にしてられない」的なことを書いてるけど、気にしない以前に名前が各所で自発的にツイートされるってことは「えとみほ」ブランドのUGCが連呼されているってこと。だから、初めて見た人も、どこかでRTされてきた彼女のアイコンを見て、「ああ、この人見たことある」ってフォローしてくる。

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つまり自主投稿のバズと他者からのバズが相乗効果となってフォロワーが増えると。

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その通り、才能と開き直りがなせる技(笑) 実はこの二つは企業アカウントを作る時に重要なポイントなので、それはあとで話します。

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自分で考えても140字でフォロワーを増やすツイートなんて想像できないし、炎上は嫌ですし(笑)では、他にやり方はありますか?

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前回も話しましたけど、良いコンテンツを作るというのは常人には再現性がない話ですし、批判のストレス耐性って中々無いですよね。なので、無名の人がやるのであればインタレストグラフでアカウントを運用をするのは良いでしょうね。インタレストグラフの作り方は簡単。そうですね……、じゃあ、趣味は何ですか?

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ランニング、ですかね。

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なるほど。では、あなたからランニングという細胞だけを取り出しましょう。

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細胞を取り出す?

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あなたにはコーヒー好き、時計好き、寿司が好きなど様々な興味関心がありますよね。で、その中のランニング細胞を切り取るイメージです。それをシャーレで純粋培養してランニングという細胞しかない人格(アカウント)を作り出すんです。

そのアカウントは当然ランニングのことしかつぶやかないし、ランニングについての投稿ばかりRTする。そうすると、ランニングというインタレストグラフで多くのアカウントとつながることができるので、フォロワーのエンゲージメント率も非常に高い。私はベガルタ仙台サポーターなのですが、当然ベガルタ垢を持っていて、試合終了直後にスタジアムを背景に「カッタデー」ってツイートするだけで、メッチャいいね!される。

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なるほど、同じ趣味嗜好の人となら同じ話題で簡単にコミュニケーション出来ますもんね。でも、趣味垢では個人垢として拡がりが無いような気もしますが。

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はい、そこで1に戻ります。「1.コンテンツがある人」ですね。ランニングのアカウントが出来上がり、フォロワーもそれなりに増え、エンゲージメントが高ければ、それ自体がコンテンツです。「ランニング垢の中の人は私です」として個人垢に展開すれば、趣味垢にも職業が同じ人(例えばマーケター)はいたりします。

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なるほど!インタレストグラフで作ったアカウントをコンテンツに昇格させるわけですね。

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りょかちも参考になります。大学生の頃から知ってるけど、「自撮りのひと」から今ではコラムニストになって、ビジネスでもアカウントを活用しています。ひとつのアカウントを変遷させるってこともアリ。あとは、2のエゴサーチで名前が出るようにするかは覚悟次第です。1、だけでツイッターは楽しめますから、一般人はそこまでやらなくても良い気がします。

さて、いつもの通り、前置きが長くなりましたね。そろそろ本題に入りましょうか。

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てっきりもう本題に入っていたのかと思ってました(笑)。今回も長くなりそうですね。

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第4回は避けたいので完結するように頑張ります。

ソーシャルメディアでマーケティングをしたいと言う大雑把な要望について

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今回お伝えさせていただきたいのは何かと言いますとこれなんですよ。

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「いきなり細部から入る」マーケティングの施策は、なんとなく仕事をしている感はあれど、間違った方向に突っ走ってしまっている場合がちらほら見受けられますよね。ぜひ、詳しくお聞きしたいです!

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例えば、私はTwitterを得意としてソーシャルメディアマーケティング(以下、SNSマーケティング)に取り組んでいますのでTwitterを例に上げますね。細部から入る、というのはその先のゴールも決めずに目先のKPIらしきものを決めちゃうようなことなんですよ。いきなり「Twitterのフォロワーを10,000人集めます!」と掲げても、なぜフォロワーを10,000人集めるのか?集めてどうするのか?これらが明確になっていない。

KPIがフォロワー10,000人で、その先につながるKGIがあるならもちろん問題ないですよ。ただ、現実は、上層部やマーケターという立ち位置の方から「良いからやれ」と言われ、思考停止でゴールを理解しないまま突っ走ってしまっている状態も多い。

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難しい問題ですよねぇ。一緒にお仕事をしているときに、これってどういった意図でやっているんでしょうか?と聞くと「上司からやれと言われて…」というのは時々耳にします……。ただ、現場の方も上から指示がくるので、自分たちでなんとかやる、あるいは代理店にやってもらうしかない。

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野球でいう1000本ノックみたいに、量で質をカバーするならありかもしれませんが、マーケティングの施策においてはあまり良いとは言い難い。

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ジゲンさんのツイートにあるように、三枚おろし(マクロやユーザー行動を起点に、仮説立て・KGI立て・KPI積み上げ)しないと、本質的なゴールには届かないですね。

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ひとつ事例を挙げましょうか。例えば、この逆三角形の図。

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「ヒエラルキー」でも「売上規模」でもなんでもいいですが、必ず序列ってありますよね。この序列を決めるのは、当事者たちではなく、ユーザーやカスタマーです。当たり前だけどトップシェアは、トップシェアを支えてくれるカスタマーがいるからこそ。しかし現実は、この序列のように当たり前に定義できることを曖昧にして、細かく考えるべきことを大雑把にしてしまう。担当者が陥りやすい注意点です。

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なるほど、序列が決まっていることを覆すにはエネルギーが必要なのに、いきなり「ソーシャルメディアをやりたい」では、本末が転倒しているってことですね。

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マクロを見ないでミクロのところにいく人もいれば、マクロだけ見てミクロをおろそかにする人もいる。どちらかが重要とかじゃなくて、両方を見たあとに施策を練るようにしないとね。

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何から見るかっていうことですよね。いきなりなんとなく大事そうな指標をKPIと置いて、そのKPIを頑張って増やしたところで売り上げが増えないのであれば意味がないわけで。でも多くの会社はそれを伸ばしてどうするの?ということに力を注いでいたり……。

SNSマーケティングも魚を捌くのと同じ。まずは3枚におろしてから。

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先日久々にあるWEB界隈の集まりに参加したことがあったんですけど、その時にSNSで商品が売れるの?と言ってる人がいて、確かに日本では未だそういう認識なのかもって。中国なんて5割以上の人がSNS経由で買い物をしていますからね。


参考:ミレニアル世代の消費行動は「共感できる情報」がカギ

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他国はSNSでこんなに買い物しているんですね。

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中国でSNSで買い物しますか?って聞くのは、心斎橋で関西弁話せる人いますか?って聞くようなもの。

もちろんSNSで売れる商品と売れない商品があります。そこをはっきりさせるため、まずは魚と同じように、ビジネスを3枚おろしにしてからSNSで商品が売れるかどうか判断しないと。

そのための分類がこちら。

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まず一次切り分けが「皆さんの商品やサービスはすでにUGCが出ていますか?」という分岐。そして2次切り分けは「指名検索があるかどうか」。これで3分割です。

①すでにUGCが発生している(且つ指名検索もある)
②UGCは発生していないが、指名検索がある
③UGCもないし、指名検索もない

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なるほど。UGCが自然と出ているかどうか、商品名やサービス名での検索数があるかどうかで3分割するんですね。

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そう。なぜ起点がUGCかと言うと、前回の記事でもお伝えしたようにコンテンツが1番、2番はユーザー行動なんですよ。UGCが出てるってことは明らかにユーザー行動が起こっている。だからそれをSNSマーケティングで増やせばいいだけ。①「UGCがすでに発生している」場合は、さっそくSNSを活用すればいいんです。

第1弾でも言いましたが、UGCが増えると指名検索が増える可能性がある。最近の良い例が「カメラを止めるな!」ですね。

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Twitterのクチコミを見て、映画館を検索して探す。ただ、商品によってクチコミと指名検索をグラフにしたときに本当に相関しているのか、因果関係まで追う必要がありますってことは注意してくださいね。売上に結びつく要因はココで、もしクチコミで指名検索が増えた場合、一般検索のコンバージョン率と指名検索ではおおよそ10倍くらいの開きがある。お取引先で最大20倍の開きがあることもありました。そうなるとCV数が増えるので、売上増になるのです。

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具体的にどのように活用すればいいんでしょうか?

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「①すでにUGCが発生している」は具体例を挙げて、最後に解説していきますね。「②UGCは発生していないが、指名検索がある」場合、シェアされるSNS運用を心がけることです。「③UGCもないし、指名検索もない」の場合はシェアされるために強力なコンテンツを作る必要があるので、②と③ではかかるコストが全然違います。

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シェアされる(TwitterでいうRTなど)には、そもそものUGCが必要ですよね。そのUGCをどうやって促せばいいのでしょうか?

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シェアされる運用のコツは、ユーザーが真似をしやすいように画像をツイートするときに「このように撮ってね」という思いを込める。あたかもサンプル画像を提供するように。前回の事例に出したシャンプーの会社さんはそこら辺のこだわりが凄くて、投稿したあとのUGCをみるとサンプル画像を参考にしたことがわかるようなものが多い。

次にフォロワーを増やす意義にもなるのですが、エゴサーチして素敵なUGCをアップしてくれているツイートをRTする。ほとんどのユーザーはフォロワー100人未満なので、いいね!が3つもつけば御の字なのに、公式垢にRTされて、いいね!が100にもなるので大喜びです。それを繰り返すと徐々に「私もRTして」というメッセージを込めた「#ブランド名」のハッシュタグ投稿が増えてきます。それは画像つきが多いのでUGCが積層するきっかけになるのですね。UGCっていうのは核になるので、口コミを右肩上がりに増やしていくためにはUGCを積層させていくことが大事。

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また、「積層」が重要なのでUGCを評価するときも、ピーク時の件数をみたり、キャンペーン期間にどれだけUGCが出たかを評価するのではなく、キャンペーン前とキャンペーン後でベースが増えたかどうかを計測することが重要。キャンペーン後に元の数に戻るのであれば短期的にはいいですけど右肩上がりとは言えないので注意してください。

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③「UGCもないし、指名検索もない」場合には、商品やサービスがコモディティ化してしまっているので検索という行動に移らないんです。例えば日清食品さんの「カップヌードル」って最近検索しました?めちゃくちゃ売れていますけど、検索ってしないですよね。欲しければコンビニ行きますから。だからコンテンツを作成してユーザー行動を意図的に醸成することが必要になります。

このコンテンツ作りは基本大きなコストがかかるので、他の広告施策と比較しなければなりません。ポートフォリオを組んで費用対効果が合うという判断であれば、コンテンツを作ってソーシャルメディアで流せば良いんですけど、そうでなければ別の広告を考えないといけない。つまり、「ソーシャルメディア担当だからコンテンツを作ってでもやる」のではなく。第3パターンなので、DSPや動画広告、TV広告が良いと判断すれば、そちらに譲るくらいの判断が必要。これが縦割りの組織構造では中々難しいのですがね。

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コモディティ化してUGCも出ないし、指名検索もされない商品は今Amazon対策をがっつりとやることで売り上げを伸ばしているところも多い。

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そう。コモディティ化された商品はAmazonでは検索されるし購入もされますからね。洗剤とか水とか全部Amazonで買えますし、なんたって自宅まで届けてくれる。一方で、「外に出る」という目的を果たすために「買い物」という手段を使う層もいたり。無意識なユーザー行動かもしれませんが。

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インスタ映えのためにスイーツ店巡りをしたり、旅をしたりするユーザー行動は顕在化していますよね。

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私もサッカーのアウェイ旅をそのためにしている部分はあります、めっちゃ地方巡業している(笑)

そんなおりに直面するのは、地方だとまだまだインターネットですべてが完結するとは言い難い。インターネットで全部完結すると思っているのは東京の人がほとんどですよね。それほど東京と地方では考え方が大きく異なっていて、例えば最近副業の話とかが話題に出ることって多いと思うんですけど、地方だと副業の話なんてほとんど出ないですよ。仙台に帰ったら「本業が危うい」って言われましたもん。

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もちろんSNSマーケティングをやるうえで自身がSNSを利用しているということは非常に重要ですけど、マーケターたるものTwitterとかSNS上で言われていることがすべてだと思ってはいけませんよね。TwitterのタイムラインにはTwitterユーザーしかいませんから。

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ほんとその通りです。なんか話がそれましたね。

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他のポートフォリオとしてインフルエンサーマーケティングをするというのはどうでしょう?

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YouTuberを使うのはアリですね。老若男女YouTubeは見ていますから。その他のインフルエンサーマーケティングについては注意事項があります。例えば中国ではKOL(Key Opinion Leader)というのですけど、インフルエンサーのフォロワー数10万人以上は普通にいて、SNSで購買する比率も日本とは全然違う。

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そもそもの母数が違いすぎますね。

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中国は日本の数年先を行っているので、インフルエンサーマーケティングの知見も規模も比較になりません。上記の図のフォロワー数と購買率が両方低い、これは「ブランディングの科学」って本に載っていた「ダブルジョパティの法則」(2重罰)みたいなものです。

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これもまた「インフルエンサーマーケティングが来てるらしい」のでやりましょうって話に繋がりますね。

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例えば日本できゃりーぱみゅぱみゅって530万人くらいフォロワーいます。しかも300RT、5,000いいね!とか普通にされる。でも、私はフォローしてないので、私のタイムラインには、ここ数ヶ月流れてきたことがありません。
見ました?他に有吉とか

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見ませんね。

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インフルエンサーってのは、そもそもインタレストグラフ(興味関心)の頂点にいるんです。冒頭にアカウントを作るならインタレストグラフって言いましたけど。ランニングで純粋培養したら、他のインタレストに届かないですね、狭くて深いので。きゃりーぱみゅぱみゅも好きな人とかインタレストが近い人には届くけど、他には届きにくいのです。

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では、YouTuber以外のインフルエンサーマーケティングはダメですか?

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そんなことは無くて、コスメとかアパレルブランドとか興味関心が狭く深いところに訴求するのであれば一定の効果はあるはずです。

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前回記事にもありましたが、Instagramで見たお店をGoogleや食べログで検索するってこともありますしね。

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ただ、最近のインフルエンサーマーケティングって主軸がInstagramに偏っている。Instagramは拡散機能がないのでフォロワー数とハッシュタグに依存していまう。Twitterと運用を絡めるべきと思います。

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InstagramとTwitter両方のインフルエンサー施策を進めている代理店も最近はありますよね。

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それはほとんどの場合、フォロワーにツイートでリーチするインフルエンサー施策で、広告と連動していない。きゃりーぱみゅぱみゅの話をだしましたが、フォロワーは狭く深い興味関心で繋がっているので、他の潜在層には届きにくい。広告は様々な層へリーチできるので相互補完が成り立ちます。

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具体的にはどのように?

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まずはインフルエンサーの皆さんのイメージや文脈を無視しないこと。Instagramは世界観を大事にしている人が多いし、彼女たちにコンテンツは任せた方がよい。クリエイティブにいちいち口出しするなら、広告をやっていた方が良い。

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代理店としてはステマにならないようにとか口出しせざるを得ない場合もありますが。

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ステマにならないようにってのはインフルエンサーの方が気を配っていると思います。思うにインフルエンサーをコンテンツメーカーと認識すれば、「○○は使い心地最高です」じゃなくて、「○○のクリエイティブ素材撮影の依頼を受けました」って書いて投稿して貰えば良いんじゃないですかね?

特有の世界観で撮影してくれるし、投稿したら「○○ちゃんらしい画像でカワイイ」とかの反応貰えるかもしれない。そこで実際に使ってみてのコメントも入っていれば最高ですね。もちろんプロモーションって明記して。

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Twitter広告と絡めるにはどうすべきでしょうか?

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インフルエンサーのニーズと依頼主のニーズを分解して、ソリューションすれば良いと思います。

1.Instagramのフォロワーは多いけど、Twitterのフォロワーは少ない
2.Instagramで興味関心軸に刺さるのは良いけど、Twitterでの拡散力が弱い

それを繋げるとInstagramであげた投稿をTwitterでもツイートして貰う、その投稿自体をプロモツイートとして拡散する。興味関心は潜在的にあるもののフォロワーになっていなく、ハッシュタグもクリックしないような人に訴求することができる。プロモツイートをするとツイートが拡散されるのと同時にフォロワーも増えていくことが多いから、インフルエンサーにとっては企業の広告費でフォロワーを増やすことができるし、コンテンツがない企業側にとっては広告費さえあればインフルエンサーのコンテンツを使って商品を宣伝することができる。

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企業がクリエイティブを作って企業アカウントで出す広告より、第三者のツイートを広告で出した方が効果を見込めますし、まさにwin-winの関係ですね。

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コストの折衷案として、企業が広告費を出す分、正規のインフルエンサー施策コストより安くて、インフルエンサーにとっては、弱いはずのTwitterアカウントが露出し、且つフォロワーが増えて影響力を増大させることができる。そうなるとインフルエンサーマーケティングの概念が変わって、100万フォロワーのインフルエンサーに300万円支払うよりも、インタレストグラフでつながっている1万フォロワーのアカウントに数十万支払ってツイートしてもらって、20万円でプロモツイートする方が効果は高いこともありえる。インフルエンサーマーケティングっていうのはフォロワーが多ければいいというわけではなくて、届くべき人に届いていればいいんです

まぁ理想を語っているだけだし、インフルエンサーの会社じゃないので好き勝手に言っていると思われるかもしれませんがね。僕ならそうする。

クチコミ数から適正フォロワーのKPIを立てる!

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えーと、相当遠回りしましたが、第1パターン(すでにUGCが発生している場合)の話に戻りましょう。

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たぶん、読者の皆さんはスクロールして話を巻き戻していると思います(笑)

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では、第1パターンをより掘り下げて、すでにUGCが発生している場合のKPIの立て方を紹介しますね。

まず、企業は口コミを増やすことが重要だというのは第1弾、第2弾でもお伝えしました。口コミ=認知や興味だとするとここを増やせばその後の検索や購買も自然と増える。

口コミのブームはだいたいコアファンから始まって、アーリーアダプターがキャッチして、大手メディアなどでドーンという流れなんですけど、ある商品がSNSで話題になって、一時的に在庫切れになることってあるじゃないですか。その一時的な売り上げアップだけで終わるパターンが一番ダメ。

このブームを一過性に終わらせないためにシェアされる運用が必要なんです。

ただしこれにはフリークエンシー出すぎ問題という落とし穴があって、広告を浴びせすぎるとブランド棄損につながってしまう。

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細部で媒体ごとにフリークエンシーの制御はできますけど、チャネル全体でのコントロールってほぼ不可能ですし、むしろ無理にコントロールしようとすると逆に燃え上がってしまうことも……。

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そうなんですよ。だからせめてTwitterだけは時間差や地域差を使って同時に出ないようにする。地域差は前回お伝えしましたよね。時間差も一緒で、1つの発信よりもいくつもの口コミをチェーンのようにつなげていった方が時間差が生まれる。

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ゆえに、いきなりフォロワーありきのKPIを立てるのは間違ってるんですよ。一過性で終わる可能性が高いし、下手するとブランド棄損につながる。だ・か・らフォロワー数ではなくリツイートされるアカウント構築が大事。

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ここで第二弾の情報が拡散されやすいアカウントの作り方にもつながるわけですね。

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そうです。例えば10,000フォロワーをKPIとして達成しても拡散されなければコンテンツが届くのって10,000人だけ。拡散力が無ければ10,000人フォロワー集めたってあまり意味なくて、KPIをフォロワー数にするのと同時に、拡散されているかどうかも見るのが重要なポイント。

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いくら数が多いとはいえ、そもそもフォロワー10,000人にだけ情報を届けるという行為が「拡散」というのすら怪しい。

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Twitterアカウントのフォロワー数って数十~数万とかまちまちですけど、一般人は大体30から100フォロワーぐらいなんですよ。そうすると10,000フォロワー×1アカウントが情報発信するのと、100フォロワー×100アカウントで拡散してもらうのって拡散力的には同じですよね。

実はこれがKPIの立て方で、まずは現状の口コミ数×平均100フォロワーのアカウントというのを目標フォロワー数のKPIとする。※あくまで平均100フォロワーは暗算し易い目安です。

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現状の口コミ数はどのように算出すれば……?

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そういったクチコミ分析ツールがあるので、正確な数値を追いたい場合は使いましょう。中小企業や個人ではコスト負担が厳しいのであれば疑似的に算出することもできますよ。

まずはTwitterで自社名やブランド名をエゴサーチをする。そして1時間当たりのツイート数を数えます。おおよそ人が活動している時間が10時間だとして10倍すると1日あたりの口コミ数を出すことができます。ひとによって活動時間は異なりますけどおおよそ1時間当たりの口コミ数に10~12を掛けると近しい値になります。※10~12も暗算しやすい目安です

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例えば1時間当たりにブランド名が5ツイートされていれば5×10で一日あたり約50ツイート、それに平均フォロワー数の100を掛けて5,000フォロワーをKPIとして設定するということでしょうか?

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そう。そして5,000フォロワーをKPIとしてオーガニック運用や広告を行う。フォロー&リツイートキャンペーンだと、エンゲージメント率の低いフォロワーばかり集まるからKPIの計測にむかない。ちゃんとプロモアカウントで興味のあるユーザーに対してターゲティングをするかインタレストグラフで運用しないと。

そのようにして運用していくと口コミ数も自然と増えていく。KPIを達成した時点で再度口コミ数を確認して次のKPIを立てていく。こうしてフォロワー数と口コミ数を同時に見ていくことの繰り返し。

フォロワーを増やしていくためにはどうすればいい?

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これが冒頭の
1.コンテンツがある人
2.エゴサーチで名前が沢山出る人
と理屈は同じ。

1.UGCがでる商品やサービスがコンテンツ
2.エゴサーチするとUGCがたくさん出ている

影響力のある人と企業垢の作り方は同じなのです。

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前回お伝えしたULSSASの図でいうと、エンゲージメント率の高いアカウントづくりができていれば、最初の部分でわざわざ広告を出さなくてもオーガニック投稿をするだけでまるでおもちゃの風車に息を吹きかけるようにクルクルと回ってくれるんです。しかも勝手にフォロワーも増えてきます。これが僕が提唱するオーガニック運用の究極です。

更に、これができている状態で広告出すのと、できてない状態で広告を出すのとでは同じ広告費でも効果が全然違いますからね。回り方が弱くなったら広告でブーストする。

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なるほど、ULSSASができてない状態で広告を出すというのは、ザルに水を貯めようとしているようなもので、まずはザルをしっかりとボウルにしましょうということですね。

jigen_1

はい、そのとおりです。言いたいことの割には長くなってスミマセン。

アナグラム編集後記

今回のジゲンさんの服装、もしかすると見覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?そう、巷で話題の「カメラを止めるな!」の監督と同じシャツだそうです(笑)

そんなユーモアな一面も見せていただきつつ、取材本編では第一弾・第二弾と続き第三弾でもTwitterアカウントの運用方法を本当に手取り足取りお話しいただきました。SNSはなんとなく効果が出そうだから、周りがSNSをやっているからやっている、といったかたちでこれまでSNSの運用を行っていた方にとってはKPIの立て方など、学べる点が多くあったはずです。

この記事を読んでさっそく行動に移すかどうか、それがTwitterマーケティングを代表とするSNSマーケティングを成功させることができるかどうかの重要なポイントだと思います!

文:賀来重宏
編集:阿部圭司/高梨和歌子
写真:賀来重宏