口コミ拡散のためにはコンテンツが1番、では2番は何に?|jigen_1さんが語るツイートが拡散する仕組みとは

  • 関東

jigen1さん(@kloutter)さん(以下ジゲンさん)の第一弾「本当のインフルエンサーとは、自分の投稿をリツイートしてくれる人|ビッグデータを扱うjigen_1さんの語るTwitterオーガニック論とは?」に続き、まさかの第二弾が登場。前回、敢えてお話ししなかったより具体的なTwitterの活用方法をこころよく公開いただけました。個人・企業問わず、すべてのTwitterユーザー必見です!

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第二弾では、前回の記事でお話いただいたトピックスのうち、「インフルエンサーとはだれにとってのインフルエンサーなのかが重要」について深堀りしていきます。

前回の内容を簡単に整理すると、ブランド名の検索数を増やす・炎上を沈下させる、いずれにせよ企業は口コミを拡散させることが重要。さらに、バズるために企業が大切にしなくてはいけないのは「プライベートグラフのユーザーのフォロワー」でしたね。

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プライベートグラフのおさらいをすると、「友人などごく身近な人たちだけでつながっているアカウント」で、リツイートの連鎖には欠かせない存在だとお伝えしました。

企業が商品やサービスを売っていくために口コミの拡散、例えばTwitterであればリツイートでの拡散というのは今後ますます重要になってきます。

過去に中国事業を立ち上げた経験があるんですけど、中国のSNSマーケティングは日本と比べると数年早く進んでいて、すでに口コミを拡散できるかできないかが、商品が売れるか売れないかのすごく重要な要素になっている。具体的には評価の細分化。ショップの対応、商品発送、商品の内容など口コミが細分化されていて、多くの人がその口コミを参考に商品を購入しています。

日本も中国と同じように、今後は口コミを主軸としたマーケティングに移っていくと考えています。いかに口コミが発生しやすいパッケージデザインか、ショップの対応か、配送か、店舗デザインかなど。中国では、これらができる企業は口コミが一気に広がり、商品が爆発的に売れます。いまは、売り切れに伴う機会損失が生まれ、生産管理という新たな課題に打ち当たっているようですね。

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口コミがどれだけ拡散するか、どれだけ商品が売れるのかを想定し、さらに生産管理をリアルタイムで対応していかないといけないのですね。一度欠品してしまうと、次回納品時には流行が変わってしまっていたり、ユーザーの購入意欲がなくなっていたりと、せっかく育てた勢いが一気に落ち込んでしまう。

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そうなんです。中国ではもうあるあるなんですが、UGCの流れは一度波にのったら意図的に止めることは難しいのでSNSマーケティングがうまくいけばいくほど、欠品問題にぶち当たります。

日本はSNSマーケティングができている企業がまだまだ少ない。というのも、ソーシャルメディアを広範囲且つ複合的に見れる人材が足りていないんですよ。専門性があること自体は悪いことではないんですが、例えば「Facebookのアルゴリズムの変化が~~~」というような、一点だけでソリューションすることは無意味だと私は考えています。専門性がありすぎると局所的な解決策しか出すことができないので、全体を見ることができないんですよね。

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「木を見て森を見ず」ですね。

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私はTwitterおじさんですが、PinterestもTumblrも使えるし、SNSマーケターなら全部のSNSを使い倒さないと。しかし、全体がわかる人材が広告業界に少なすぎるし、さらに細分化・新サービス出現などでどんどん遠くへ行ってしまう。だからデジタルの人も総合代理店の人も自分の得意分野のポジショントークになってしまう。ポジショントーク抜きにしてフェーズによって御社は今リスティング広告をやるべきですよとか、SNSマーケティングですよとか言える人が少ないんですよ。

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確かに自分の得意分野以外をおすすめできる人って少ないですよね。それって企業の評価制度も原因の一つだと思います。リスティング広告の部署にいるのであればリスティング広告を売らないといけないし、そこでクライアントのためだとFacebook広告やSNSのオーガニック運用をすすめても会社からは評価されない。経営層に近ければそれが評価されて長期的にプラスになるという判断ができるんですが、現場でその判断をするのはなかなか難しいですよね。上司も上司で儲からないものをすすめてきなさいとは言いづらい。

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そうそう。そもそも視座が違うので、一概には難しいんだけど、正しいことを言い合える関係性を作ることはお互いにとってのためになるはず。

デジタルでもブランディングはできる

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ひとつお聞きしますが、吉野家と言えば牛丼ですよね、では牛丼と言えば?

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吉野家、ですかね。

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まあそうですよね。おそらく多くの人がそう答えると思います。

・吉野家と言えば牛丼→企業からのメッセージ
・牛丼と言えば吉野家→お客様に伝わったメッセージ

「吉野家と言えば牛丼」を逆引きすると、「牛丼と言えば○○」。ここに「すき家」が選択肢として入ってこない場合、そのギャップこそが「すき家」の埋めるべき課題となります。(※牛丼でイメージしてもらう戦略であればの前提。たぶん、そこではない)選択肢として入れてもらうために、実はSNSを使うことができます。その方法をご紹介しますね。

「SNS(Twitter)でブランドメッセージを伝える」には、このような手順を踏みます。

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そうするとブランド名の指名検索が増えて、売り上げにもつながる。一つのことを伝え続ければ、おのずとブランディングの完成形に近づいていきます。ソーシャルメディアでのブランディングの鍵はUGC(ユーザー投稿)です。それを如何に創出するのかに時間を割いたほうが良いですね。

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SNSまで活用すれば間違いなくブランディングはできるんですが、SNS上でのブランディングに価値があるという考え方の人が少ない印象はあります。デジタルが流行る際に一度ブランディングは効果を測れないから意味ないよねと否定されてしまったこともありましたよね。多少なりその考えが残ってしまっているんだと思います。だからデジタル側ではブランディングを目的とした広告は売りにくいんですよね。

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今のデジタルはブランディング以外のところ、例えばクリエイティブを改善してクリック率を上げましょうよ、が多い。もちろんクリック率改善もすごく重要なんだけど、デジタルでもブランディングをやりましょうよと。
Twitterのオーガニック運用をしっかりとやれば口コミは増やせるし、ブランディングはできるんです。ただ一つ問題はあって、ツイート数などが可視化できるTwitterはいいんですが、いま日本で一番ユーザー数が多いSNSはLINE。口コミが可視化できない、されても困るしね。

だから、これからのマーケターはLINEでどんなことがつぶやかれてるのか?ということを想像できないといけないですね。LINEで「このお店美味しかったよ、今度行こう」とか「○○でこの前欲しいって言ってたセーターバーゲンになってるよ、買っておく?」とか。態度変容なんて見えないところでバンバン行われている。私もTwitterの運用をしながら常にLINEでもこういうコミュニケーションが行われているだろうということは考えています。

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見えない部分を考えるからこそマーケティングはおもしろいですよね。

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LINEユーザーを対象とするのであれば、LINE内の口コミは可視化できないことを理解したうえでLINE@とかLINEビジネスコネクトとか、LINEのサービスでマーケティングをするってことに落ち着くんですけど(笑) 小売店とか飲食店はLINEを取り入れない選択肢は無いと思うんです、予算の問題なら仕方ないけど。

とは言え、今日はオープンソーシャルの話なのでLINEはその道のプロに譲ります。

ただ、最初の中国の話に戻りますが、LINEという見えないソーシャル上でも口コミが広がって原因を探りにくい売上が増えたりするので、やはり生産調整という課題はついてまわります。

リツイートされるにはコンテンツが1番、では2番目は?

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しかし、前置きが長くなりましたね。ぜんぜん各論に落とせてないのですが。

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結構、具体論が聞けていると思いましたが。まさかまだ序の口だったとは。

jigen_1

ぜんぜんです。もっと各論に落としていきましょう。

見えないLINEの口コミを想像するということも含め、企業はこれからSNSマーケティングをしていかなくてはいけない時代だとお話してきました。

一方、SNSでのコンテンツの拡散に苦しんでいるところは結構多い。いわゆるコンテンツマーケティングと言って、良いコンテンツを作成してコンテンツの拡散を図るという手法がありますが、良いコンテンツを作ることができる人は日本には限られているし、それだと属人的という意味で再現性が低い。徐々にデジタルに優秀な人材が流れてきて、優れたライターさんも生まれているけど、まだ圧倒的に不足しています。

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とは言え、社内でコンテンツが作れないからとSNS運用を代理店にお任せするも、社内のメンバーより商品理解が低くなってしまいがちな代理店担当者がうまく運用できず、広告主がSNSマーケティングはうまくいかないものだと思い込んでしまうケースはありそうですね。

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あるいは外部の代理店に任せることで確認作業が多く発生し、外に出るころには総花的になってしまい、USPも薄くなってしまうケースもあります。

では、普通どう対策しているかというと「顧客インサイトを分析して、ターゲティングの精度を上げよう」とする。でも、インサイトを分析すればするほどターゲティングは狭くなっていくので、結果的にCPAは下がったけれどボリュームが出ない現象が起こってしまいます。

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フェーズによってはターゲティングを絞ってCPAを下げることは大事ですが、最初からそれをやってしまうとそこから広げていくのは難しい。もはやインターネット広告あるあるですね。

jigen_1

ですね。話は戻りますが、属人的だと再現性が低いので私がこれから公開するのは、再現性の高い拡散方法です。特にマスメディアを使ってブランディングをするようなマーケティング予算が潤沢でない中小企業にこそ重要で、前回お伝えしたフレームワークでいうところの最初の「認知」を再現性の高いやり方でやりましょうということですね。

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そのためにはTwitter上での行動様式を分析して、拡散されやすいTwitterアカウントを作ります。Twitter上でリツイートやいいね!をする人にはある種の傾向があるので、それを理解できれば再現性も高いですし、だれにでもできます。その上、コンテンツが良いとさらに拡散されやすい。

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情報が拡散されやすいアカウント!喉から手が出るほど欲しい人も多いはず。どうやって作るのでしょうか。

jigen_1

今日はここまで!

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ええ~!

jigen_1

冗談ですよ(笑)

まず、Twitterで自分のツイートを拡散してくれそうなファンを見つける必要があります。実はこれには3つのパターンがあるんです。

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第1パターンはフォロー数が少ない人。前回お伝えしたプライベートグラフの人で、フォローが少ない分フィードに流れてきやすいですし、フォロワーのエンゲージメントが高いのでリツイートされやすい。

そして第2パターンはツイート数が多い人。彼らは「躊躇なくリツイートをします」。おそらく読んでない(笑)でも、RTのチェーンを長く伸ばすには有用な触媒なのです。

第3パターンのインタレストグラフは取材冒頭で示した図の一番外側のユーザーですね。趣味でつながっているアカウントでフォロワーが多く、同じ趣味なのでエンゲージメントが高いのが特徴です。ツイートの内容が彼らの興味関心に響くと一気に拡散します。

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うーん、言葉は理解できるものの中々ハラオチが難しいですね。具体例を教えていただけますか?

jigen_1

そうですね、僕にとっては簡単な話なので逆に説明するのが面倒ですね(笑)

論より証拠で、第1パターン、第2パターンのユーザーがどれだけ重要かというのを実際に見てもらいましょう。そのあとに詳細を説明します。スマートフォンを手に取ってTwitterを開いてください。まずは適当にリツイートが多いツイートを探します。こちらたまたま見つけたツイートですが、取材時で1.9万リツイートあります。


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リツイートしている人の一覧を表示して、上からアカウントを確認していきます。

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そうするとほとんどのアカウントは下記のどちらか、あるいは両方に当てはまると思います。

・フォロー数が少ない人(30~300人台)
・ツイート数が多い人(10,000ツイート以上)

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第1パターン、第2パターンのいずれかが多いですね!

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両方が当てはまるアカウントはもうわたしからすればお宝です。これを本気で調べるならリツイート表記の100個をランダムに選んで統計をとってみてください。統計的には5%も同じ傾向であれば全体傾向と見ることがありますし、いやいやそれでは少ないでしょ25%くらいないとって人もいると思います。

ここからは、皆さんがランダムで選んだリツイート数の多いツイートから、さらにランダムで選んだ100人のフォロー数(30から300人台)、ツイート数(1万以上)で調査してみてください。第1パターンが何個で、第2パターンが何個で、両方が何個でと。そこで得られた比率に対し全体傾向と言えるか言えないかは個人の考えにお任せします。

※取材後改めて100アカウント分集計してみたところ第1パターンに該当するアカウントは49、第2パターンに該当するアカウント74、第1第2どちらかあるいは両方に該当するのは100アカウント中94という結果で驚きました。

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今日のお題は「口コミ拡散のためにはコンテンツが1番、では2番はなに?」でした。アカウントの構成もコンテンツ拡散に大きな役割を果たしているということですね。

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はい、そうなんです。いろんな人が「バズはこう起こす」みたいなことを言い、それって結構バズるわけですね。でも、そのツイートをリツイートしている人を分析すると「第1、第2パターン」に嵌っていたりする。つまり本日の表題の答えは「コンテンツは1番、ツイッタラーの行動分析が2番」ってことになります。

第1パターンは当たり前のことを当たり前に言っているだけで、実は特筆すべきことは何も無いのです。前回から言ってますでしょ、ほとんど人がプライベートグラフ(30人前後)で使っていると。そんなのリツイートしている人を分析すれば、最大公約数の多い人がヒットするようなもので、「雨降っているのに、傘もささずに歩けば濡れますよ」くらい当たり前。

何を言いたいかというと、インフルエンサーをフォロワーで評価するのは違うってこと。「インフルエンサーとは自分ツイートをリツイートしてくれる人」であって、リツイートしない500万フォロワーの芸能人は私にとってのインフルエンサーではない。フォロワーでリツイートしてくれない人はいますが、それは読者です。別にないがしろにしているわけではなく、「拡散者ではない」というだけ。

次にフォロワー数ではなくてフォロワーの質ってことも、ようやく言われ始めています。では、フォロワーの質ってなに?ってことですが、それが第1、第2パターンを含んだユーザーです。特にツイートの拡散に貢献してくれる人は第2パターンの「ツイート数の多い人」。ずーっとTwitterに張り付いているのでは?と思ってしまうような人です。

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いわゆるツイ廃のフォロワーを集めるわけですね…(笑)。確かにツイート数の多い人はほぼ無条件にリツイートしますし、正直リンク先の内容すら見ていないですよね。リツイート数が多かったり、特定の人のツイートをほぼ無条件でリツイートしている気がします。ツイート数が多い人ってどうやって集めるのでしょうか?

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第3パターンのインタレストグラフを利用することです。ツイート数が多い人って間違いなくTwitterが好きですよね。彼ら全員に共通する興味関心は【Twitter】なのでそれを主語にしたコンテンツを作成することです。Twitterユーザーに人気の〇〇ランキング」とか、「Twitterでバズった〇〇5選」とか。ページに余力があれば、説明しますが、twitterをよく活用していて「インタレストグラフに合致する人」にツイッター広告をあてるのです。よく活用する人とはこういう人「アニメ」「サポーター」「ゲーマー」などなど、わりとツイ廃がおおい。

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なるほど、Twitterに関するコンテンツを作れば第2パターンに当てはまるツイート数の多いフォロワーの興味を集めることができるし、彼らは沢山リツイートするので、いいこと尽くしですね。

jigen_1

そう、リツイート数が増えるというのはすごく重要で、Twitterユーザーってリツイート数の多い記事を読むんですよ。逆に言うとリツイートを増やせば読まれるので、リツイートは「情報拡散」と「記事が読まれるかどうか」という2つの意味で重要です。

ただインターネットって日本中、世界中どこでもつながることができるので、Twitterでもリツイート数が増えていけば全国津々浦々まで口コミが拡散されると思いますよね。でも実はそうではないんです。

ここで第1パターンが再登場です。プライベートグラフで使っているから当たり前と先ほど言いましたが、当たり前のことを更に深堀すると当たり前とは思っていなかったことが見えてきます。

ここに私のいる会社で独自に調査をしたTwitterユーザーがどの地域間でコミュニケーションをしているかというデータがあるんですが、地方の人はほとんど地元の人としかコミュニケーションをとっていない。地方であればあるほどその傾向は顕著です。当たり前のことですが、福井県の人のプライベートグラフの中心は福井県の人です。ずーっとパーセンテージが下がって行ったところでせいぜい隣県くらい。

Twitter上の地域間コミュニケーション
(相互メンションのFrom-Toを分析した結果)

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地方から別の地方という情報の流れは稀なので、本当に全国津々浦々まで情報を拡散させようとするなら、各都道府県にハブとなるフォロワーをまんべんなく持っていないといけません。

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全国規模の企業だとそうですが、全国まで広げる必要のない地方の中小企業であればその地方にいるフォロワーをいかに獲得するかというのはすごく重要ですよね。しかもユーザー数は限られているので競合との奪い合いになってしまう。

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なので地方の企業は企業アカウントをやるべき。例えばプロモアカウントで地元の名産物とか駅名とかスポーツチーム名でキーワードターゲティングをすれば地元のフォロワーを集めることはできます。

ちなみにコンテンツの拡散には伝達スピードというものもあります。数日前のコンテンツが急にバズったりすることってありますよね。それは第1パターン、第2パターンのユーザーによって徐々に拡散されていたときに、第3パターンのインタレストグラフのアカウントに届いて一気に拡散されているんです。なので第3パターンに伝播したタイミングで大きく波を打ちつつ、口コミは徐々に積層されていくようなイメージになります。

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逆に良くないのは、最初だけ大きくバズって終わりというもの。こういう感じですね。

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多くの企業にとっては、一瞬のバズというのは売り上げとしては微々たるものなので、一度意図せずバズったら、その後どう積層させていくかと考えるのはすごく重要。

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企業側からが適切に燃料を投下していかなくてはいけないということですね。

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そう、じゃあどう燃料投下していくか、というのは第3弾でということで(笑)

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そこをなんとか、もう一声!

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じゃあ、もう少しだけ。

フォロワーを獲得する目的でよくTwitter上でフォロー&リツイートキャンペーンを実施している企業を見かけますよね。(例:アカウントをフォローしてリツイートした人の中から抽選で〇〇プレゼント!)

一つの手法としては良いんですが、このキャンペーンで獲得できるフォロワーってほとんどが懸賞用のアカウントなので普段は使っていないことが多い。懸賞用のアカウントは懸賞用のアカウント同士でつながっていることが多いので、リツイートされてもリアルなユーザーまで届きません。

それを防ぐためには、まずはプロモアカウント(フォロワーを獲得するための広告配信)をやるべきです。プロモアカウントであれば、キーワードターゲティングなどで質の高いフォロワーを獲得できますし、そうして獲得したフォロワーの中から第1パターン、第2パターンに当てはまるフォロワーをフォローバックしていくことでフォローを外されないようにできます。企業アカウントからフォローバックされると嬉しいですよね。

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確かに企業アカウントからフォローされるなんて思ってもいないですし、特にプライベートグラフでやっている人ほどうれしいですよね。なんで自分のアカウントが?みたいな。

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そう、プロモアカウントだと懸賞用ではない生きたフォロワーが手に入るんですよね。そこでフォロワーを獲得したら間髪入れずにフォロー&リツイートキャンペーンをやる。そうすると生きたアカウントのフォロワーがリツイートしてくれるので、生きたアカウントまでツイートが広がる。やがて懸賞アカウントに届き、そのフォロワーが増えていく。最終的に懸賞アカウントに収斂していくのは仕方ないですし、アカウントに蓋をするという意味では良いのです。

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アカウントに蓋をする……?

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プロモアカウントで質の高いユーザーを集めただけだと競合からは格好の餌食になります。例えばA社がプロモアカウントで質の高いフォロワーを獲得します、それを見つけたB社はA社のアカウントに対してフォロワーターゲティングでそのフォロワーおよび類似ユーザーまで奪うことができるんです。

そこで先ほどのフォロー&リツイートキャンペーンですよ。このキャンペーンで懸賞用のフォロワーを増やすことでアカウントに蓋をする、つまりフォロワーに迷彩をかける。分析システムを使うとフォロワーから購買層の属性まで知れてしまうのですが、懸賞アカウントだと様々な飲料、小物、車にいたるまでフォローしていますから分析できないのです。

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なるほど、自分のフォロワーにあえてノイズを入れて、競合からターゲティングされないようにすると。逆に言うとふたをしていないアカウントを見つけてターゲティングすれば効率がいいということですね。

jigen_1

さすが広告代理店ですね(笑)

アナグラム編集後記

ジゲンさんの取材第二弾ではそこまで言っていいの…?という情報ばかり。そこに共通するのは「再現性」というキーワードでした。

ただ知識や情報を独り占めしていても、人ひとりが救える企業には限界がある。優秀な人ばかりに依存していては、これから日本は成長していかないし中国に差を付けられる一方なので、再現性のあるノウハウを世の中に公開して底上げをしないといけないということを強く仰っていました。その通りでジゲンさんの伝える内容は、やればできることばかり、後はそれを忍耐をもってやり続けられるかどうか。

世の中には再現不可能な話や予算が桁違いの話、最新のテクニカルな話、非現実的、または性別での切込みなど趣旨と異なる話題が多い、そうではない素晴らしい取り組みを世の中に広げたい!(勿論、言える範囲で)というこのMarketeerを立ち上げたきっかけにもなった考え方にまさに通ずるインタビューでした。

文:賀来重宏
編集:阿部圭司/高梨和歌子
写真:賀来重宏