外壁塗装業界のイメージを変えたい!リスティング広告やSEOのスキルを活かし外壁塗装業界のWeb集客を札幌からサポートするアールピーネット代表取締役鈴木良太さん

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株式会社アールピーネット 代表取締役鈴木良太(通称:すーさん)
大学卒業後に赴いたオーストラリアでインターネットの可能性に魅了され、デジタルハリウッドへ入学。卒業後に入社した会社で、WEBマーケティングの事業を任され、独学で勉強する。その後、自分の能力がどこまで通用するか確かめるために札幌から東京へと上京。

現在は生まれ故郷の札幌へ戻り、外壁塗装の仲介サイトと業界のWeb制作、集客全般のお手伝いを行っている。

様々な事業を経て外壁塗装へとたどり着いた理由とは

アナグラム

すーさんはアフィリエイトを始め、様々な事業に取り組まれている印象が強いです。現在どのような事業をされているのか、またそれに辿り着いた経緯など教えてください。

suzuki1

今はメインで外壁塗装の業界においてWeb集客のお手伝いをしています。LP制作・SEOのほかリスティング広告の運用代行ですね。また、外壁塗装の一括見積サイト外壁塗装110番の運営も行っています。実はアフィリエイトは、最初の2年くらいしかやってないです。

Web集客に関しては、業者さんからご紹介経由でお話をいただけることが多く、全国数十社のWeb集客を受け持っており、おかげさまで信頼性の面でご紹介いただけるので解約もありません。もちろん地域がかぶらないように1地域1社にしていますし、私は札幌在住ですが、契約前には、全国各地、東北や関東・関西、南は…鹿児島あたりまで、会いに行きます。

これまでの自分は新しいことを次々とやっていくのが好きというか、それが自分らしさでもあったのですが、一つの業界に長くかかわり業者さんとの関係も深くなってくると、新しいことをやるのとは別の楽しさもありますね。

インターネットの世界に足を踏み入れてから10数年、廃車一括見積りやスーツケースのレンタルサービスなどいろいろな事業を興して今に至り、今が一番心穏やかかも^^

アナグラム

外壁塗装の事業もそれまでにいろいろとやられた中の一つとして始めたのですか?

PCを見ながら語るすーさん

suzuki1

いえ、外壁塗装に関しては思い入れがありまして、過去に自分の祖母が外壁塗装の訪問販売で高い料金を請求されたことがあったんです。なので正直昔は外壁塗装の業界に対してはあまり良いイメージがなく、そういった悪い業者を追い払ってやろうという気持ちで始めました。それで仲介サイトのタイトルも警察をイメージする「外壁塗装110番」にしています。

アナグラム

なるほど!それで110番なんですね。

suzuki1

それでいざ外壁塗装の業界にかかわってみると、めちゃくちゃいい人ばっかりなんですよ。過去やんちゃだった人とかは多いですけど、皆さん職人気質ですごく良い方です。それで仲良くさせてもらって徐々に輪が広がっている感じですね。

アナグラム

外壁塗装の仲介サイトがすべての始まりなんですね。今後は仲介サイトと事業主の支援と、どちらかに注力されるご予定はありますか。

suzuki1

事業主の支援を大きくしていきたいですね。今はリスティング広告、LP制作、SEOなどWeb中心なので、チラシなどオフラインの広告についてはやってないんですが、そういったところもやっていきたいとは思っています。

海外に出てインターネットの恩恵を知り、この業界へ

アナグラム

そういえば、どういった経緯でインターネットの業界に来られたんですか?

写真スタンドとすーさん

suzuki1

決して順風満帆ではなく、紆余曲折ありました。生まれも育ちも北海道で、大学を卒業するも特にやりたいことや夢がなく、漠然と公務員を目指す典型的な地方出身者です。ただ、一浪して試験を受けたけど落ちてしまい、ここからどうしようかと悩んでいたタイミングで知人がオーストラリアへワーキングホリデーに行くというので、ついていきました。これが大きな転機です。

海外に出てはじめてインターネットのありがたみを知ったんです。インターネットそのものは大学で使っていたのですが、2000年代前半までは、~(チルダ)付きのURLが多かったですよね?冗談抜きで、あれがうまく入力できなくて。レポートを書くときに「このサイトを見ろ!」ということがあったんですが、アクセスできず見れないっていう…。今みたいに、分からないことがあったら検索をする、という考え方そのものも無いような時代だったので、ほぼ笑い話なんですが、それが原因で一気にインターネットが苦手になりました。当時はGoogleも知らなかったし。

アナグラム

今からは想像もつかない(笑)。海外ではどんなことが?

suzuki1

国際電話は高いので、Skypeを使って日本の知人と無料で連絡を取り合えることに感動しました。また、当時好きだったブランドの服が日本で発売されると聞き、どうしても欲しくてヤフオクに手を出しました。海外に居ながら、日本の服を購入して届けてもらうことができる!と感銘を受け、一気にインターネットにはまりましたね。

また、初めて海外に出て、20代の最後に世界一周する!という夢ができたので、ネットが繋がればどこでも仕事ができるこの世界に入りました。

そこからは早いもので、オーストラリアから帰るなり札幌のデジタルハリウッドへ入学。ただ、どんなコースがいいとかはさっぱりわからなかったので、響きの良さだけでデザイナーを志望しました(笑)。基礎的なデザイン・ソフトの使い方は一通り教えてもらったんですが、集客の方法などは一切教えてもらえず、結局は独学で学びましたが。

そして就職し、デザイナーとして入社したはずが入社して早々上司にマーケティング担当になってくれと言われて、気付けばマーケティング全般に携わるようになりました。ちなみにその時は、Googleを「ごーぐる」としか読めないレベルだったので、今思うと末恐ろしいですね! FTPも使えないのにいきなりやってみてとか頼まれました。サーバーが飛びかねないですよね。とにかく独学で学ぶような習慣が付いてきて、SEOも半年ほど独学でやったところその業界で2位までサイトを育てることができたり、非常に大きな成功体験を経験できたのは大きかったです。

今では大きな声では言えないですが、当時のSEOはサテライトサイトを作ったり、相互リンク貼ってもらったり…とかだったので運が良かったというのもありますが、当時のWeb部門での売り上げもかなり上がりましたね。それで、自分の力を試してみたい!と思って東京に行くことを考えていました。

アナグラム

そこで東京に出てきたんですね。

suzuki1

この時点で、独立して力試ししたいなという気持ちが芽生えたことと、その頃にアフィリエイトという言葉を知り、あるアフィリエイターさんがタイミングよく求人募集をかけていたのでメールして、面接のために札幌から東京へ。その場で「じゃあ合格!」という感じで内定を頂いたので、勤めていた会社をすぐに辞めて、段ボール2箱だけ東京に送って2週間後には引越ししました。引っ越し料金が1,600円でした(笑)

この会社で出会った方々は、起業のために大学辞めたって人たちもいたので、今までの友達にはいないような考え方をしている方が多く、刺激をもらいましたね。勿論、こっちは札幌からわざわざ出てきているので絶対負けねぇ!という気持ちでひたすらのめり込んでいきました。

とは言え、東京に行ってから半年ほどでその会社が解散してしまい、当時の会社の仲間4人で1年ほど会社を興した後、色々あり最終的には皆でそれぞれ独立していきました。

アナグラム

展開が早いですね。アフィリエイトから仲介のような立ち位置のサイトを運営し始めた切っ掛けは何でしたか?

事例を挙げて語るすーさん

suzuki1

昔、車を解体するときによくわからずディーラーに持って行ったんですよね。そしたら5,000円くらい手数料を取られて。その記憶が頭に残っていて、何となくネットで検索していたときに、車に使われる鉄の相場が上がっていることを知り、「ボロボロの車でも買取できるサイトを作れば需要があるんじゃないだろうか…」と思ったのがきっかけです。そのときに、単純にASPを通さずに直接広告主を探した方が、1件当たりの送客で貰える単価が高くなるからいいんじゃないかな?と考えて。全国の解体業者さんに電話営業をしながら各地を回って、協力してくれる業者さんを探し始めたら、思いのほか参加業者さんを集めることができて。

当時はリスティング広告に携わっていなかったので、SEOだけで複数のサイトから解体車を月1,200台ほど集めていました。

はじめはすごい順調だったんですが、鉄の買い取り価格に非常に影響される業界でして、ある日突然提携先から僕の結婚式の前日に「採算が合わなくなってきたので解約したい」という電話が来た時は精神的にガクッときましたね。しかも割とご予算をいただいているところだったので。もうメンタルは式どころではない、みたいな。

悪いことって重なるんですよね。丁度時を同じくして、リーマン・ショックが起きてしまい、鉄の価値も60,000円から7,000円くらいまで一気に落ち込み、そうすると当然解体業者の方も景気が悪くなって、当時いた解体業者も結構つぶれてしまったんですよ。それで次の事業を探し始めました。

次に取り組んだのは旅行好きが昂じてスーツケースレンタルサービスです。当時スーツケースがめちゃくちゃ好きで、ブランド物のスーツケースって買うと結構高いんですよね。しかも、東京の家って札幌に比べると狭い家多いじゃないですか。それで「置き場所に困るスーツケースってレンタルの需要あるんじゃ…」と思い始めました。在庫を持っていない状況でとりあえずサイトを作って、初めてリスティング広告を出稿。そしたら、すぐに注文が入ってしまって、その後急遽スーツケースを仕入れてレンタルする、みたいな感じで完全なる自転車操業でした。

初期のころに「社員研修に行くので20個まとめて貸してもらえないか?」というお問い合わせが来ましたが、直ぐに20個も仕入れできなかったので断りました。もったいない(笑)

どんどん注文が増えて気づいたら事務所中スーツケースだらけになってしまい、在庫を置いておくスペースもなくなってきたので、配送から清掃、管理までの業務を外注化することにし、数年経ってたまたま「この事業が欲しい」という方が出てきて売却しましたね。その後、外壁塗装を見出して、廃車のときと同じく、仲介サイトを立ち上げました。

圧倒的な集客をして、集客力を業界内で体感してもらう秘密とは?

アナグラム

在庫を持たずにテストマーケティングから入る辺りは流石だなと、僕らも見習う部分が非常に多いです。営業などは、すーさん一人です?

suzuki1

廃車の頃は、1人で事業をやっていたので全部自分が回りました。外壁塗装の仲介サイトを始めるころにはスタッフもいたので営業はNo.2が担当しています。

実は、リスティング広告代行はほとんどこちらから営業していないんですよね。まず仲介サイトに加盟してもらい、そこでお客様を紹介することで集客力を体験をしてもらいます。それで希望があればリスティング広告代行もできますよーって感じです。

この方法だと、ユーザーから本当に評判の良い塗装業者さんもわかっているので、集客のやりがいがあります。あまり良くない業者さんの集客代行ってやりたくないじゃないですか。集客すればするほどユーザーが不幸になるっていう…。

リスティング広告代行って「この業者さんを全力でサポートしたい!」と思えないと、力が出ないなーと個人的に思っています。

最初にリスティング広告代行の依頼がきた業者さんが、他社でリスティング広告をやっていて上手くいってなかったんですが、うちでやってから1年で売上1億円上がりました。CPA15分の1に改善したりという事例もありました。それで周りに紹介してくれて関係性が広がっていきましたね。

アナグラム

外壁塗装の業界内では、お墨付きをいただいているのですね。うまくいかない事例ってありますか?

suzuki1

地方によってはそもそもネット検索がほとんどなくて、難しいケースももちろんありますが、大体は上手くいっています。リスティング広告もできて、LPも作れて、SEOもできるところってなかなかないんですよね。その点で、他とは差別化できてて圧倒的な集客力を体感してもらえています。

アナグラム

でもそれってこれから人数が増えていくとすべてのクオリティを維持していくのって難しいですよね。

インタビュアーに向けて語るすーさん

suzuki1

そうですね。ただ、リスティング広告代行に関しては、自社で仲介サイトのリスティング広告もやっていて、コンバージョンに繋がるキーワードを把握しているので、色々なジャンルをやるのに比べて管理は楽だと思います。

また、SEOに関してもこのジャンルの検索意図を把握しているし、地域の業者さんなのでベニスアップデート後は上がりやすいです。

アナグラム

なるほど、だから横展開しやすいわけですね。逆に言うと全国通販などは難しいということですね。

suzuki1

そうです、スーツケースなどのECのリスティング広告をやっていたので、自信はありますが絶対やりたくないです(笑)

アナグラム

アナグラムの場合は、「運用型広告」というところに特化して、業種は絞りません(一部NGあり)という方向性ですが、すーさんのところは逆に業種に特化していて、リスティング広告もLP制作もSEOもやりますということですね。どう絞り込むかの違いですね。

suzuki1

あとは業界を絞っているとクライアント1社ごとのデータは少なくても業界全体のデータがたまりやすいのはメリットですね。例えば金曜日はコンバージョンにつながりにくいとか土日はコンバージョンしやすいとか、仲介サイトでは決まりにくいキーワードでも地域の業者さんなら決まるとか。

夢や目標を一時的に見失うも、仕事にかかわる方の笑顔が立ち直るきっかけに

アナグラム

アフィリエイトからはじまり、現在は業種特化型の広告代理店寄りのポジションへ変遷してきましたが、ご本人のスタンス的にどっちが合うとかはありますか?

suzuki1

数年周期でSEOの手法が変わったりするので、その節目で知人のアフィリエイターさんが思い切り収益を上げているのを話に聞くと少しだけ心が揺れますね。ただ、そこまで金銭欲が無い上、精神衛生を考えたりすると間違いなくいまの仕事にしてよかったなあと思います。

アナグラム

アフィリエイト出身という点でも、価値観が宝さんと近いですね。

suzuki1

そうですね。20代の頃は、夢とか目標に向かって頑張るようなスタンスだったんですが、奥さんと世界一周の旅という念願の夢を叶えて札幌に帰ってきた時、一種の燃え尽き症候群のような時期があって、2年くらい迷走していました。今は、塗装業者さんの「自利と利他」の話や活動がきっかけで、新たな夢や目標を見つけ出すことができたので、心が穏やかです

そういえば…この前リトアニアに行ってきました。外壁塗装の業者さんたちと。

アナグラム

………ええと、リトアニアの壁が良い!……とかですか?

suzuki1

いやいや(笑)。日本に縁のあるリトアニアの歴史的建造物の外壁がボロボロになってしまっているので、ボランティアで直しにいきます!と日本の塗装業者が立ち上がるという1年がかりのプロジェクトに参加させて頂いたのです。今度NHKで流れます。

先に申し上げたように、外壁塗装の業界のイメージを良くしたい!という志のもと、全国の塗装業者さんが集まった団体があり、ボランティア活動を国内外問わず行っているんです。名前は、「塗り」に「魂」でとうこんペインターズ

塗魂ペインターズのTOP

すーさんも参画する塗装ボランティア団体

suzuki1

この団体活動で、幼稚園や小・中学校へ赴く機会が増えて、建物を無償で塗装するんですよ。そうすると、こどもたちがすごい喜んでて。無邪気なこどもの笑顔を見てると元気がでるなぁ~と思いました。

アナグラム

今後の展望はありますか?

suzuki1

外壁塗装はここ数年で相当深いところまで関わることが出来ているので、メイン事業としてはさらにニッチになりますが造園やエクステリアなどで横展開していきます。

あとは、全然業界が違いますが、世のママやパパがリフレッシュできるようなリアルな場を作っていきたいなとは考えていますね。広いスペース、安心できる遊び場。広く言えば街づくりのようなことにも携わっていきたいなと考えています。

アナグラム編集後記

廃車買取やスーツケースのレンタルサービス、外壁塗装など全く異なる事業をテストマーケティングを経て発掘し、すべて軌道に乗せてきているすーさん。廃車業者さんや外壁塗装業者さんに営業に行ったり、世の中の需要を見つけ出し事業を開始するスピード感など、見た目のおっとりした雰囲気とは正反対の行動力が非常に印象的でした。

Web業界に入り10年少しでアフィリエイト事業、複数の事業発掘、及び事業譲渡など、めまぐるしく活動されており、過去しんどい時期もあったが、現在は家族や外壁業者さん、身近な仕事にかかわる方の笑顔のために仕事をし、そこに楽しみや幸せを見出しているそう。

そんな状況に至るのは、過去の様々な経験があったからなのかもしれません。
「子どもが好き」ということで全く違った事業への展開も考えていらっしゃるそうで、今後すーさんがどのように活躍の幅を広げていくのか楽しみですね。

文:高梨和歌子
編集:阿部圭司/賀来重宏
写真:賀来重宏