ネットショップは特別じゃない。日常では誰しもお客さん|コマースデザイン取締役 兼 コピーライターの川村トモエさん

  • 関東

コマースデザインの代表取締役・坂本さんに続き、取締役・川村さんもご登場!同社のコンサルタント部門を統括し、社内マネジメントメインに活動されている川村さんの考える顧客視点についてお話を伺いました!

「書く」のはじまりは演劇時代の脚本

アナグラム

コピーライターからネットショップの世界に入り、コマースデザインではコンサルタント部門の統括をはじめ社内のマネジメントに従事されている川村さんですが、坂本さんとの住み分けはどうされていますか。

kawamura

坂本さんが会社の集客やエンジニアを見ています。私は、会社の規模が小さいのでお母さん的な位置づけですね。出産を期にスタッフへクライアントを引き継いだので、今はクライアントを担当していません。ここ2年の働き方は、コンサルタントというよりもCOO的なマネージャーの側面が強いかもしれない。

アナグラム

ネットショップ業界へ足を踏み入れたきっかけは坂本さんがコマースデザインを設立したタイミングですよね。それまではコピーライティングをお仕事に?

kawamura

その経歴がですね、よく楽天出身だと思われてることが多いんですが、それどころかこれまでまともに就職したことがないんですよね。「書く」ことのベースでもあるんですが、学生時代に演劇をやっていて脚本や演出に関わり、将来の夢も芝居関係の仕事につくことだったんです。

だから、すぐにコピーライターになったわけではなく、バイトしながら自分の劇団を旗揚げする予定でした。

ところが、実家の不動産屋を手伝うことになって肝心の演劇を続ける余裕がなくなってしまった。それでも舞台公演をやったり、せめて脚本だけでも書くかとシナリオ・センターに通ったりとあがきましたが、気合が足りなかったんでしょうね。その後、遅れた反抗期がやってきて実家から離れました。

その後はアルバイトや派遣をしていました。手前味噌ですが要領は良い方で、どこの職場でもポジションが上がっていくんですよ。でも飽きちゃう。もともと会社員になろうと思ったことがないので、立派な社会不適合者ですよ。今後の人生をどうしようかなと悩んだタイミングで坂本さんが「文章を書くことで仕事として喜ばれることがあるよ!」とメールマガジンの話を持ちかけてきて(笑)。

アナグラム

そこで「書く」ことを再開したんですね!

kawamura

はい。
当時は名乗ったもん勝ちみたいなところがあったので、”メルマガ代行します!”とかんたんなホームページを作って募集してたらお仕事がもらえちゃったんですよ。某大手アパレルメーカーからもご依頼いただきました。

しばらくメールマガジンを書いていたら、坂本さんが楽天を退職したので合流して独立しようか!と話が進んでコマースデザインを設立しました。

アナグラム

現在のネットショップコンサルティング会社というよりもショップのメールマガジン代行が入口だったのでしょうか?

kawamura

そうですね。まだテキストメール全盛の時代で、テンプレートも無い頃だったので、こちらからテンプレートを作って提案したり、もらった写真にコピーを付ける仕事をしていました。

当時は、事業主側もどう依頼したらいいのか分からない状態だったので、依頼内容は「とりあえずメルマガを作ってください」程度でしたが、大手アパレルメーカーなどであるあるだったのは、買わせようとしない雰囲気の紹介でとどまるコピー。でも、ただ紹介して終わるのはもったいない。どうせメールマガジン打つなら買ってもらえるコピーが良いだろうと考えて取り組んでいました。

アナグラム

そこでいろいろな商材のメールマガジンを書いたんですね。これは難しかった!と印象に残る商材はありましたか?

kawamura

例えば、銀粘土ですかね。粘土を形成して焼くと銀製アクセサリーがつくれるシロモノで、そのショップ会員向けのメールマガジン。

内容は、展覧会のお知らせ、先生向けの教材などどちらかといえばB to B寄り。マニア向けのニッチな商材なので浅はかな知識では到底書けないですよね。そこで、どういう人が銀粘土を買うのか事前にリサーチしました。ここで、演劇時代の脚本を書くスキルが役に立ちましたね。

脚本の書き方にはいくつか流派がありますが、私は”あて書き”でしか書けなくて。”あて書き”は、先に演じる役者が決まっていて、役者を最大限活かすにはどういう役回りをしてもらうのが良いのかと順序立てて書く方法です。私には、何か「表現したい世界」があったわけけではなく、自分が面白いと思う人と面白いことがしたい、そしてその人の面白さが伝わる話とセリフが書きたい、と、要は「人」を魅力的に見せることがしたかったんですよ。

小さな劇団でありがちなのは、役者が限られるので、相対的に一番カワイイ子が美人役・団長が主演男性役みたいなのがすごく多くて、なんだか違和感が拭いきれなかったんです。美人の役なのに微妙な美人が演じるのって、気になって話に入り込めませんよね?お芝居ってただでさえフィクションなので、嘘に見えたらその時点でしらけるてしまうんですよ。だから、自然に見えるフィクション、よりリアルで、その人が輝くセリフを書こうといつも考えていました。こんな経緯もあって「この人は何を考えていてどんなことを言うのかな?」と考えることが習慣化できていたんじゃないかな。

そんなこんなで、マーケティングをしたりコピーを書く際にも、私は市場調査してきっとこうだろう!という考え方よりも、追体験(イタコっぽいかも)するって表現がしっくりきます。漫画で例えると、「ジョジョの奇妙な冒険」の5部に出て来るアバッキオのスタンド能力、ムーディー・ブルースに近いかもしれない。…これ、わかりますかね?(笑)

ジョジョの奇妙な冒険 37 (集英社文庫) 、41ページより引用

アナグラム

ビデオ映像のように指定したスタンドや人間の行動を再生できる能力ですよね!これに近いスタンド能力を川村さんが持っていると。でも、その能力を誰かに教えようとすると難しいですね。

kawamura

そう、「ほら、見えるじゃん」と言っても他の人に見えることではない。でも、「想像力を働かせて」「人の気持ちに立ってみて」と言葉にすると陳腐化しちゃうんですよ。なので、なぜこの人たちはこの商品を買うのか?と考えてもらい、仮説を何通りかブレストして、とにかく実践してもらうしかないと思います。

アナグラム

コピーライティングはたくさん書くべきだと仰っていたことがありますが、それと一緒ですね。まずは、質より量でとにかく実践しないとはじまらない。

kawamura

とはいえ、無作為にたくさん書いても意味がない。なので、Aさん目線・Bさん目線・Cさん目線…と様々な視座で対象の商材を見る意識が求められます。
自分の視座で考えつくものには限界があるので、何ていうのかな、とあるシーンを幽体離脱して見るといいますか。

アナグラム

俯瞰的にものを見よ、と。坂本さんといい、お二人はやはり似ていますね。

kawamura

視座の転換はふたりとも意識していますね。自分は、自分は、と主観で話さないというか。自己発信だと感想ベースで話が進みますが、それでは事実かどうかが分からない。人は事実を見て解釈ができるので、まずは事実が見たいです。

例えば、交通事故が起きて、それを目撃した人から話を聞いてもその人が見た状況と事実がイコールとは限らない。我々のお仕事は、クライアントにとっての裏方なんです。会社の方針として事例をあまり公開することもないので、ネットショップの裏にいる我々の存在は表向き気づかれないし、それでいいと思っています。

だからこそ、自分の主体的な熱意だけで突っ込むことはあまり好ましくないという感覚があるので、二人三脚ではありつつも一歩引いて俯瞰した立場でいたいですね。がっつり入り込み答えを教えてしまうのではなく、クライアント自ら答えに辿り着いてもらいたい。私たちは、いわば案内人です。どうすれば自走できるか知った方が、クライアントにとって再現性高いですよね。

アナグラム

自走できるよう軌道修正しつつ導くやり方は、坂本さん・川村さんのお二人だけではなく、スタッフ全員が実践できていると。

kawamura

はい。出来るようになると信じていますし、なってきていると感じます。中長期的に”クライアントのネットショップがどう成長することが幸せ”なのか想像して、理想と現在とのギャップを見つけて、ギャップを埋めるための道筋を教えてあげる。解決のための道具を渡して終わりのではなく、道具の使い方・使いどころを教えてあげる習慣が身につけば大丈夫ですよ。

ネットショップは特別じゃない。日常では誰しもお客さん

アナグラム

スタッフさんは、ネットショップ上がりやコンサルタント育ちの方が多いのですか?

kawamura

うーん。最近は、異業種出身の中途未経験の方が増えました。元コンサルという人はいないです。弊社は中途の教育が手厚くて、研修期間が1ヶ月半~2か月と結構長いんです。プログラムが用意されているので、はじめは座学でひたすら学んでもらいます。プログラムが多すぎてやりきれない量だと評判ですが、これをがんばってもらいます。

「こういう時はどう考える?」この考え方、向き合い方をアプローチします。基本は新入社員がプログラムに取り組み、メンターが毎日朝と夕方にチェックし、疑問点はいつでも相談できる。

アナグラム

そのやり方だとメンターの方も負荷が少なく実務にも集中できますね!ちょっと極論的なお話ですが、コマースデザインさんのコンサルタントにはマーケター的視点も必要だと思うんですね。マーケターって作れるんでしょうか?

kawamura

「マーケター的視点を持つ」って概念が理解できれば、あとはどう質を上げるかなので人によりけりではありますが、最低限のラインまでは立たせられるかなと思います。マーケターとコンサルタントは近頃すごい仕事が侵食しあっていて、誰がマーケターで誰がコンサルタントなのかわからなくなってきていますね。

ネットショップって日常ではみんなお客さんなので、スタッフには自分がお客さんとして買ったものに対し、なんで買ったんだっけ?と俯瞰的に見る癖をつけてもらいたい。基本的にはインターネットでものを売る人たちを支えることが仕事なので、惜しみなくインターネットでまず物を買えと伝えています。

我々の仕事は、こういうとちょっと安っぽくなってしまいますが、クライアントに意識を変えてもらうことが一番重要なんですよね。マインドセットというか、これいけそう感を出すこと。

コンサルタントとしてお手伝いしたとあるクライアントさんは、インターネットでものを売ることを大きなパッケージで捉えすぎていて、具体的にどうしたら良いのか分からず食べず嫌いになっていましたが、途中から楽しんでくれるように変わり、着実に売上も伸びていきましたね。

アナグラム

楽しんでもらえたきっかけがあったんですね。

kawamura

開封率を〇〇%あげるために云々、て話ではなく、開封率とはそもそもこういう概念だよねと説明してあげて、実際に理解できるシーンを具体的に、言葉をチャンクダウンして説明する。そして、自走できる状態まで段階的に引き上げてあげると、楽しんでもらえるようになります。誰かが良いと言っていたからやった施策は他責なので、外れたら人に文句言うだけ。でも、自分の生活の話なので、本来は自責でやるべきですよね?セオリーや成功例を鵜呑みにするのではなく、「どうして成功したんだろう?」と疑問を持つ習慣の重要性を伝え続けます。

当社が出している黄色の本はタイトルにもあるように100の法則なので「◯◯をやろう!」と書いていますが、「特に新しいことはない」「もう既にやっていることばかりでした」という感想を耳にすることもあります。そう思う方も多いと思うのですが、じゃあ、どこまでやれているのかを聞きたくなりますね。

なぜかと言うと、知ってる、やってるで終わっているからです。ただ施策をやっただけで振り返ったりブラッシュアップしていないのではないかと。例えば、楽天内検索で順位をあげるにはどうすればいいか?上げたい!っていう悩みの本質は、検索順位を上げることではないことを理解してもらいたい。目をつぶって細かいハウツー施策のアクセル全開!みたいな人が多いですよね。

アナグラム

そんな中でも、楽天というプラットフォームならではの問題みたいなものはあるんでしょうか?

kawamura

メーカーさんがブランディング推し過ぎる問題はありますね。売り場が変われば当然売り方は変わるわけです。でも、楽天で買おうとしているお客さんにいつものやり方で響くのか考えていない。本当に有名なブランド(例:とらやの羊羹)であればどこでも捉え方は変わりませんが、Googleでメーカー名検索で自然流入するお客さんと楽天内検索で一般キーワードで入ってくるお客さんの捉え方は違いますよね。

これが、楽天内検索で「和菓子ギフト」で来ている人に創業XXX年・格式高さ・お上品感を全面に出し、個数は書かれていないとかされてしまうと、お客さんからしたら綺麗だけど…これ何個入り…?と混乱しちゃう。

アナグラム

プラットフォームごとに来てくれるユーザーも意図も異なるので、正しい見せ方をするべきってことですね。じゃあGoogleとYahoo!はどう違うの?とかいうとそうでもないですし、いい塩梅で分ける必要がありますね。

kawamura

お客さんの意図を考える初歩としてオススメなのは、楽天のランキングをひたすら見てみることですね。例えばテレビで通販やってる時間にリアルタイムランキングを見ていると、ああ、これテレビで紹介されたんだなと分かるユニークな商品が一気にランキング上位に上がってくる。

その商品がランキング入りした理由って大体想像できるので、どうしてこうなっているかを考える。必ずしもランキング入りすることがいいこと、という訳ではないですが、「売れている」という事実がそこにあるので、その理由を考える。ちなみにその文脈を汲み取ると、商品のページ改修するアイデアとしても使えますね。

アナグラム

新人教育で、なぜこの商品がランキングに入っているのか理由出しさせるの面白そうですね!

kawamura

買ったことないからわかんないですよ~とか言わせないようにしたいですね。買えない業務用の商材のクライアントが来たら、手伝えないじゃん。どうするのって思います。スタッフにはよく、EXILEもAKBも宝塚もジャニーズも自分がファンでなかったとしても、目を背けずに好きな理由、気持ちを観察し理解するように言っています。

アナグラム

川村さん、通販で買うと決めているものは何かあるんですか?

kawamura

生活、買い物の8割は通販ですよ。仕事していて子育てもしているから何かを買うために外出する時間があまり取れないんですよね。楽天のネットショップが一番多いですが、Amazon、ZOZOTOWN、Dinos、フェリシモ、オルビス、ロクシタン、無印、ユニクロ、Buyma、などなど、リアルで買いに行けそうなものもネットで買います。Oisixは今はスーパー代わりです。

ネットショップでの買い物はあくまでも生活の一部で、特別なことではない。だから、ECは生活の延長の仕事だし、マーケティングもそうだと思っています。なので、私、マーケティング用語とか横文字が嫌いなんです。普段のことなのに、AIDMA・AISASと言われてもピンとこない。大企業なら良いのですが、我々のクライアント層である中小企業の人たちに、それで説明しても、多くの方はポカーン、ですから。あと、型化するとわかりやすいけれど、型を使うことが目的になると、大事なことが抜け落ちてしまう。ペルソナ作りとか、なんでそうなった?みたいな仕上がりになっているのをよく見かけます。

要は、お客さんは何かを探してて、何かしら制約もあって、その中で何かを買う。それだけのことです。例えば、出産するとベビーカーを買います。大きさや価格は様々です。でも、何を選ぶかは人それぞれ。赤ちゃんを運ぶものだから、安全性が一番に来るか、というと必ずしもそうではない。軽さや扱いやすさなどの機能性だったり、デザインだったり、価格だったり。価格といっても、安さを求める人もいれば、逆に高さを求める人もいる。好きなママタレと同じものがいい、とか、実はデザインが気に入ってないのに、虚栄心から有名海外ブランドのものを買う人もいます。つまり、同じ商品を買った人の中にも、普通に理由が全然違う人がいるわけですよ。

それがペルソナに置き換えてしまうと途端に陳腐化してしまう。ペルソナを細かく設定するのは良いんですけど、そもそもそんな人実在するの?みたいな違和感が生まれてしまう。表面的すぎるというか、実際に購入している層と見比べると乖離が出てしまう。

なので、常日頃から自分ごと化して身の回りのことに興味を持ち、インターネットでものを買うべきだと思います。

「女性ならでは」ってなんだろう?

アナグラム

marketeer初の女性ということもあり、働き方についてもフォーカスさせてください。川村さんは、一回産休を経て今は週5フルタイムですか?

kawamura

はい。10ヶ月くらい休みながらチャットで在宅勤務したあと、シッターさんに来てもらい働きだしました。シッターさんに頼むと、公園とかは連れて行ってもらえますが1on1なので、同い年の子どもと触れ合う機会が基本ないんですよね。それを避けたくて、週1は児童館に行き地域の子どもと触れ合える時間を取りました。在宅でも、チャットでやり取りすればどうにでもなったりする時代ですからね。その後、保育園に入れたので、今はがっつり出社しています。

アナグラム

お子さんが生まれる前後で変わった価値観はありますか?

kawamura

圧倒的に時間がないですね。休みの日にやればいい、夜帰ってからやればいい、がほぼ通用しないんですよ。子供を寝かしつけようとして一緒に寝落ちしちゃうし。結果、とにかく集中するようになったかもしれません。あとは、ある程度諦めるというか、人に甘える。かつては自分が仕事を集めてしまう癖がありましたが、配分することを覚えました。

時間がないと言えば、本も読めなくなりましたね。もっといっぱい勉強しておけばよかった、本読んでおけばよかった。酒ばっかり飲んでるんじゃなかった、とすこし後悔。いま子供が2歳になって、しっかり寝てくれるようになったので少し余裕は戻ってきました。

気付いたのは、雇用されている側の1社員だとしたら、会社側のバックアップが手厚いとしても、無意識にストレスを感じてしまうだろうなということ。私は経営者なので、文句を言われたりしませんが、やはり引け目は感じます。子どもが熱出して保育園へお迎えに行くので早退しなきゃとかは、どうしても気になるだろうなと気付くことができました。

アナグラム

周りが心底気にしていなかったとしても、クライアントとのメールのやり取り途中とか、難しいですよね。

kawamura

仕事を残して帰る人も、仕事を引き継ぐ人、両方のストレスを未然に防ぐ仕組みをどう作るかは意識が向きましたね。今後は、在宅制度を整えたりしていきたいです。一緒に仕事したことある人は、信頼してますし在宅勤務もワークすると思っています。

アナグラム

そこは弊社も課題ですね。積極的に取り組んでいきたいです。

女性、ということでもう一つ。私は男性ですが、、コスメを売るのが得意なんですよ。この話をすると気持ちが理解できる同性の女性のほうが売れるはずだと言われることが多い。でも、別の視点で俯瞰的に見れる意味では男性のほうが適正あると思っていて。そのあたりどうお考えですか?

kawamura

男女は関係ないですね。というか、私は「女性ならでは」論があまり好きじゃないんですよ。きめ細やかさでいくと、世の多くの女性より一部の神経質な男性の方がきめ細かいし、女性の物腰の柔らかさって言っても、一体何をイメージしているんだと。なんとなくコスメを日々使っている女性と、コスメが大好きでちゃんと知識がある女性も全然違いますよね。

当社は、男女関係なく、女性下着のクライアントを男性スタッフにも担当させています。女性の声が欲しければ社員の女性でも家族でもレビューでも、どこでも転がっていますし困らないはず。「女性」とか「男性」ってすごく振れ幅が大きい枠組みですよね。多分、私と他の女性よりは私と阿部さんの方が考え方が近いだろうし。

アナグラム

とあるコスメのクライアントに、女性の声が欲しいので担当は女性が嬉しいと言われて、はっとしたというか。潜在的に女性にやってもらいたいってあるんだなあと。まあ、代理店とかは、見栄え的に女性がいると安心感があるのかもしれないですよね。

kawamura

男社会だからこそ「女性ならでは」という表現が出るのは仕方がないし逆にわかりやすいのかもしれないし、そこは良いとは思います。けれど、自分は別に女性女性してきたつもりもないので、「女性ならでは」に対して逆に自信がないというか。

女性の中の女性って、なんだろう。女性目線の意見ってなんだろうと悩んでしまって、「自分はこう思ってないけど、世の女性は多分こう思っているのでは…」と奥歯に物が挟まったような言い方になってしまったり。じゃあ、その世の女性って誰?って話ですよね。

アナグラム

エイジング化粧品に若い女の子が担当ついたとして、それこそ、シワ?ないない。エイジング化粧品は要らない!とか、逆にややこしくなる可能性もありますしね。そう考えると、「女性ならでは」のならでは感ってなんだっけ?と疑問が残る。

kawamura

もしかすると、一部の男性はコスメのことを女性よりずっと詳しくなれる可能性を諦めてしまうのかもしれないですね。だから「この分野は女性にはかなわないよ」という言葉が出て来る。一種の思考停止ですよね。

使わないからって言ったら、泳がない人が水泳用品売れないと言っているようなもの。それが詳しいからって売れるわけでもないし、むしろ詳しすぎると売れる視点を見つけられないこともあります。当然と思っていることは気付けないので、知らない方が気付けるんですよね。そもそも自分がその商品のメインターゲットであることのほうが少ないのだから、知らないことのほうがずっと多い。それを調べたり勉強して得た知識の方が、無自覚な習慣上のことよりも価値がずっと高いはずです。

コスメの話に戻すと、男性はなんで化粧品下地を付けるの?と気付けますが、日頃から化粧品下地をつけている女性からすると、下地はつけるものだよね!から始まってしまい、「なぜ下地が必要なのだろう?」と気付けない。

マーケティング的には「なぜ必要なのか?」を気付けることが大切ですよね。繰り返しになりますが、あらゆるものに対して俯瞰的に見る癖は身につけておかないといけないなと思います。

アナグラム

お話の節々に出てくる例のわかりやすさに、”クライアントが自走するための案内人をすることが仕事”と繰り返し仰っていたスタンスが身にしみているなあと体感したインタビューでした。

楽天を中心としてコンサルティングをされていますが、楽天だから、独自ドメインだから、で基本的なルールは変わらない。マラソンの地方大会と全国大会の差みたいなもので、大切なのは「なぜこの商品が買われたのだろう?」ということを問い続けることだと、シンプルでわかりやすい軸を掲げており、さすがは売れるネットショップ開業・運営 新100の法則の著者さん!と感嘆の意をおぼえます^^

育児も仕事も真摯に向き合っていらっしゃる姿は、キャリアを考える子育て世代のマーケターにとって、指針になったのではないでしょうか?

文:高梨和歌子
編集:阿部圭司/賀来重宏
写真:賀来重宏