「バズる」と「売れる」は全く別物。大事なのは“案件動画なのに”買いたくなるか|株式会社Natee 小島領剣さん

  • 関東

TikTokの活用とクリエイターアサインを軸とする、独自性の高いソリューション提供が強みの株式会社Natee。様々なデータを活用して売上までコミットしたいと仰る一方、クリエイターさんへの強いリスペクトが印象的でした。

今回は代表の小島さまに、TikTokマーケティングの勘所や企業がTikTokを活用するうえで気を付けたいポイント、Nateeが目指す未来について伺いました。

創業から4年間はTikTokマーケティングに集中。ニッチトップになることを目指してきた

アナグラム

2018年に創業され、先日はクリエイターさんへの還元総額が5億円を超えたとのリリースも出されました。短期間でここまで成長できた要因は何だと思いますか?

kojima

明確にTikTokに絞って取り組んできたのが大きいです。この4年間、TikTok以外には絶対に手を広げず、「ニッチトップになる」をずっと意識していました。

創業期から4年で、かなりの数の事例も作ることができましたし、実績もあるからこそ「TikTokならNatee」というブランドを築き上げる事ができました。

ただ、今後はTikTokでの実績を活かして、YouTubeショートやInstagramリールまでサービス範囲を広げていこうとしています。

アナグラム

TikTokへのフルコミットから一転、他媒体までスコープを広げる理由をお伺いしたいです!

kojima

TikTok以外の媒体でも、「ショートムービー」の重要性がどんどん高まっているのと、企業さんからの要望も増えているからです。

例えば、最近だとYoutuberの再生回数ランキングトップ10のうち9をショートムービーのクリエイターが占めているので、YouTubeではショートムービーへのシフトがかなり進んでいる状態といえます。同じように、Instagramではリール、LINEではVOOMなど、様々なSNSでショートムービーの機能が導入されています。

TikTok以外の媒体でもショートムービーに取り組まざるを得ない状況になっている一方で、実際に投稿されている動画の多くはTikTokからの転載です。各媒体のユーザー層に合わせた微調整は必要ですが、TikTokを制した動画なら他でも成功する可能性が高いのではと考えています。

アナグラム

TikTokというと、10代~20代前半の若者向けのSNSというイメージです。TikTokとの相性がいい企業や商材の特徴があれば教えてください。

kojima

若年層にリーチしたい企業さんだと分かりやすく効果が出るので、商材を問わずおすすめしたいです。例えばNateeだと美容関係の案件が多く、ドン・キホーテさんやドラックストアにあるような1,000円前後のコスメやヘアケアとすごく相性がいいですね。

とはいえ博報堂さんの調査によると、TikTokユーザーは平均34歳と年齢層も広がっているので、30代以上でも特定のセグメントに対しては有効だと思います。30代のママさんとかは僕らの肌感としてもすごく増えているので、そういった人にアプローチしたい企業さんはTikTokを検討していいかもしれません。

アナグラム

30代以上でも有効な場合があるとは、少し意外でした!最近だと、TikTokから若者の採用に繋がっているという話も増えてきていますね。

kojima

三和交通さんというタクシー会社さんが有名ですよね。若者の集客や採用に繋がるという意味で、スモールビジネスの採用向け媒体としてもすごく伸びしろを感じています。

データを活用し、再生回数の先まで追う

アナグラム

TikTokに取り組んだことがない企業の場合、何を目標にしたらいいのか分からない場合も多そうです。

kojima

Nateeのクライアントさんは、TikTokで認知獲得を目的にされているケースが多いので再生回数を指標にすることが多いです。とはいえ、TikTokマーケティングをやってみて売れるかどうか?もすごく重要だと思うので、ROASやROIまでコミットしていますね。

クライアントさんにPOSデータを共有いただいて、キャンペーン期間中に店舗での売上がどう伸びたかを分析したりしています。相関なので何とも言えない部分もあるのですが、TikTokをやると店頭での売上は明確に伸びますね。ECよりも店頭売上に影響することが多いです。

アナグラム

TikTokから、実店舗での売上に影響があるんですね!

kojima

そうですね。そもそも日本ではECの比率は10%以下、90%は店舗と考えると、そこへの影響は大きいですよね。TikTokを見ている若年層だとクレジットカードを持っていない人も多いので、自然とECでなく店頭で買うことになります。

アナグラム

なるほど…!確かに、中高生ではクレジットカードは持てませんよね。彼らが大人になる数年後には、目標とする指標も変わっていくのでしょうか?

kojima

視聴数はテレビの時代から変わらない絶対的な指標だと思っていて、これが今後大きく動くイメージはないです。ただ、売れ方というか、売れる商品は変わっていくかもしれません。

例えば、最近は高価なデパコスもTikTokでの出稿を少しずつ始めています。肌感としてはまだ早い気もするものの、3年後にはユーザー層が今よりさらに広がって、TikTokでデパコスも普通に売れる気がしているんです。時間が経つにつれて、TikTokで売れる商品の幅が広がっていくことは十分ありそうです。

アナグラム

その他に重視している指標はありますか?

kojima

全ての案件動画でコメント欄の内容を分析して、購買意欲を示す言葉の割合を出しています。商品に関するコメントや、「どこで売ってるの?」などですね。

このスコアが高いと、売上にも明らかに影響してきます。逆に、再生回数が多くても商品に関係ないコメントが多い動画だと、売上へのインパクトが小さいこともありますね。

アナグラム

「バズる動画=売れる動画」ではないんですね!

kojima

そうですね、 バズると売れるは全くの別物です。コンテンツとして面白くても、あれ、これは案件動画だったのかな?と思われてしまうような薄い訴求だと、わざわざ店頭までは買いに行ってもらえない。

ユーザーもどんどん賢くなっているので、クリエイターさんが実際に使っているか、本当にいいものだと思って紹介しているかどうか が透けて見えてしまうのかなと思います。

「案件動画なのに買いたくなるかどうか」が勝負。TikTok独自の文化とは

アナグラム

案件動画だと気付かれること自体はネガティブではないんでしょうか?

kojima

ネガティブではないですね。ユーザーも慣れているので、案件だから悪いと思っている人は少ないです。逆に、「案件動画なのに面白い、買いたくなった」がすごく大事だと思っています。

クリエイターさんが本音で話しているかどうかの方がシビアに見られていると感じますね。紹介動画でも、良いことばかりでなくて「実際に使ってみたら、ここはちょっと残念だった」までしっかり伝える方が信頼性が出ますし、ユーザーの反応も良いです。TikTokではクリエイターさんの方も、視聴者に対して誠実でいたいと思っている方が多い印象ですね。

「この人が紹介しているものを買いたい」というユーザー意識は明確に存在するので、クリエイターさんが視聴者に対して誠実に作っていることが伝わる動画であれば、ファンが初案件を喜ぶみたいな風潮もあります。

アナグラム

「案件を喜ぶ」という文化があるんですね!これはTwitterやInstagramにはない、TikTok独自の文化のような気がします。

kojima

ありますね。案件動画のコメント欄に視聴者さんからの「初案件おめでとう!」というコメントが並んでいたり、「買って応援するね」みたいな感じです。いわゆる推し活ですね。

広告業界の人は職業柄どうしても穿って見てしまうと思うんですが、ユーザーさんは全然そうでもなかったりする。不義理をすれば怒るし、誠実であれば響くんだということは感じています。クライアントさんにも、動画の中身に嘘を混ぜないことは意識して貰っています。

アナグラム

「誠実に伝える」がキーポイントになりそうですね。

kojima

動画だと表情や仕草まで見えてしまうので、テキストや静止画よりもごまかしが効かないですよね。クリエイターさん自身の言葉で話さないといけないし、クリエイターさんらしさが求められるのがTikTokと他のSNSとの大きな違いだと思います。

僕はよくドン・キホーテで買い物というか、市場調査に行くことがあるんですが、女子高生がTikTokで目の前の商品のレビュー動画を検索して見てるんですよ。

Googleでもないし、Instagramでもないんだなと驚きました。やっぱりTikTokは信頼性が高いというか、ごまかしづらいものとして認識されてるのかなとその時思いましたね。

最初の3秒で全てが決まる。ユーザーを惹きつける動画のポイント

アナグラム

ユーザーに対して誠実なコンテンツであることが重要なのがわかってきました。その他に、コンテンツを作る上で意識していることがあれば教えてください。

kojima

2文脈あると考えていまして、タイアップ広告と自社アカウントの運用のそれぞれ異なったポイントがあります。クリエイターさんとのタイアップ広告の場合は、クライアントさんの求めている訴求ポイントとクリエイターさんのテイストをいかに両立するかを意識していますね。

僕らは再生回数だけではなくて、実際に売上が伸びたかまで追いたいんです。そうなると、商品の訴求はしっかり盛り込みたい。一方で、クリエイターさんの良さが活きた動画でないと再生回数は伸びない。この塩梅が難しいので、クライアントさんとクリエイターさんの間に立ってしっかりクリエイティブのディレクションをすることは大事にしています。

アナグラム

自社でTikTokアカウントを運用する場合は、どんなポイントに気を付けて動画を作ったらよいのでしょうか?

kojima

動画の中に起承転結をつけるのはすごく重要ですね。その中でも特に、最初の3秒の「起」でいかにユーザーの興味を惹いて、スワイプする親指を止めてもらうかが大事です。

最初の3秒で何だろうこの動画と思ってもらうとか、この動画を見ると何が得られるのかが分かる状態にすることですね。3秒見た動画だとその後も見続けられるケースも多いんですが、ほとんどの動画は3秒すら見られずにスキップされます。これはNateeでコンテンツを作る時も同じで、ディレクションでは最初の3秒に一番力を入れます。

あとは僕の肌感だと、 1.5秒に1回くらい何かが起こらないと飽きられちゃう感覚はありますね。

アナグラム

1.5秒に1回とは、すごい世界線です…!

kojima

セリフが変わるか、絵が変わるか、展開が増えるか、何かしら起こらないとすぐにスキップされてしまいます。面白い動画って、やっぱり絵変わりがすごいんですよ。

試行錯誤する中で鉄板のフォーマットが見つかると結構楽になると思うんですが、それが見つかるまでは結構大変かもしれません。

ただ、自社で運用する場合は「まず投稿してみること」が一番大事だと思っています。 最初から高い目標を立てずに、小さく始めることですね。いきなり毎月20本投稿しようとか、フォロワー何万人とかを目標にするとハードルが高いし、楽しくなくなってしまいます。

アナグラム

投稿するのが義務のようになってしまっては良くないということでしょうか?

kojima

その通りです。まずはハードルを低く、気軽に自分のアカウントから1本投稿してみて、動画の編集って意外と面白いなとか、200人も見てくれた!とか、小さな成功体験を積み上げていくのが大事だと思います。

あらゆる世代が動画にシフトしていく時代に、企業はどう戦うべきか

アナグラム

これからTikTokを始めたいという企業は、まず何から始めるとよいのでしょうか?

kojima

これは結構あるあるなんですが、まずはTikTokのアプリをインストールしていただくことです(笑)。

Nateeにご相談いただくクライアントさんでも、TikTok使ったことありますか?と聞いてみると「実はアプリ入ってないんだよね」と仰る方は結構いらっしゃいます。まずは実際に見ていただいて、どんなものか知っていただくことから始めてほしいです。

アナグラム

まずはインストールして見てみるところから!(笑) でも、本当にそこからですよね。他に気を付けたいポイントはありますか?

kojima

「TikTokが好きな人に思い切って任せる」という意思決定も、企業の中ではすごく求められる気がしています。 メディアにはそれぞれ独自の文法があり、TwitterにはTwitterの、TikTokにはTikTokの文法があります。 その文法を理解していない人がTikTokマーケティングをやるのはすごくハードルが高いですし、なかなかうまくいかない。なら、思い切ってTikTokの文法が分かる人に任せてしまうというのが大切なのではないかと。

これは自社でTikTokアカウントを運用するとき、広告をやるとき、我々のようなマーケティング会社に依頼するときでも同じですね。文法にそぐわないものはユーザーに受け入れられないので、少なくともコンテンツの中身は文法を分かっている人に任せることが重要です。

アナグラム

企業の決済者だと40代以上の方も多そうで、全ての人が「TikTokの文法を理解する」のはすぐには難しい面もありそうですね。

kojima

そうですね。お問合せをいただく中でも、「TikTokをやった方がいいのはわかるけれど、何をしたらいいのか何もわからない」という声は結構多いです。

例えばNateeだとクリエイターさんと一緒にタイアップ広告を作るのが今一番大きい商材なのですが、クライアントさんが、あまりにTikTokのクリエイターさんを知らないと、僕らのご提案させていただいてる内容の信憑性がどうしても伝わりづらい部分があります。

そういった場合は過去のデータや事例を元に、リアリティをもって数字でお見せできるようにしています。過去にこういう案件でこんな数字を残していて、アサインする金額がこのくらいなので、CPVはいくらに収まりそうか、まで具体的に説明します。

アナグラム

TikTokをやる上で、炎上リスクを考えてしまう企業もあるかと思います。

kojima

TikTokに限らずSNS全般に言われることだとは思うのですが、発信する以上はどうしてもリスクがあることは事実です。取り組む上で、リスクがあること自体は認識しないといけません。

一方で、 やらないリスクも大きいですよね。 これだけ若年層がテレビを見なくなっていると言われる時代に、SNSでのマーケティングをやらないのは若年層へリーチする機会を丸ごと失うのと同じで、それもまた大きなリスクなのではないかと。

見ている媒体って世代ごとに大きく違うので、10代20代の若年層へアプローチしたいなら、TikTokは避けて通れない。いつかやらなくてはいけないなら今やりませんか、というお話しはよくしていますね。

アナグラム

たしかに、「やらないリスク」という発想も大切ですね…!

kojima

本当にそうです。動画だとテキストや画像よりも情報量が圧倒的に多いので、どんな業界・サービスでも、ユーザーの年代問わず、動画へのシフトは間違いなく進んでいきます。

動画の活用が上手な企業さんほど、消費者に受け入れられていくようになるでしょう。この流れは止まらないので、あとはいつチャレンジするかだなとは感じます。

アナグラム

「若者向けの商材ではないから、動画は必要ないかな」という発想はもったいないということでしょうか?

kojima

間違いなくそうだと思います。例えば、50,60代の方はTikTokは見ていなくても、YouTubeは結構見ていたりします。ミドルからシニア層向けの商品であれば、YouTubeショートを開拓しにいくなどですね。

最近では飲食や旅行業界でのショートムービーの活用もだいぶ進んできましたし、美術館がTikTokを活用して入館者数を大きく伸ばした事例もあります。どんな商材・サービスでも活用の可能性があると思いますね。もちろん、タイミングや媒体は見極める必要はあるかと思いますが。

アナグラム

あらゆる世代が動画を見るようになる中で、企業は動画を活用してどんな戦い方をしていけば良いのでしょう?

kojima

メディアの話になってしまうんですが、動画市場は、リッチメディア、ライブ配信、ショートムービーという3種類のセグメントに棲み分けられていくと予測しています。

1つ目のリッチメディアはテレビ番組のように、完成された長くてリッチなコンテンツ。コネクテッドTVとかタブレットを使って、集中して見るものになっていきそうです。YouTubeはどんどんリッチ化していって、プロ寄りになっていくのではと。作るのが大変なので、企業がマーケティングの一環としてやるのはハードルが高いかなと思っています。

2つ目のライブ配信は情報効率はすごく悪いんですが、明らかにエンゲージが高い。InstagramライブやYouTubeライブが代表的ですね。リアルタイム性とかインタラクティブ性みたいなものが圧倒的に強いので、うまくいけば売上に繋がりやすいです。ただ配信する人によって大きく成果に差が出るものですし、日本での成功事例もまだまだ少ないです。中国では成功例がたくさんあるものの、日本人の国民性なども考えると、まだ読めない部分が多いですね。

最後のショートムービーは短尺で制作のハードルも高くない上に、スマホで気軽に見てもらえます。YouTubeやInstagramでもショートムービーへのシフトが進んでいるので、ユーザーがショートムービーを見る機会も今後ますます増えていくはずです。動画に取り組むなら、まずはショートムービーかなと思います。

めっちゃポジショントークっぽいですが(笑)

アナグラム

(笑)ありがとうございます。文字や画像から動画へシフトする中で、比較的取り組みやすく、ユーザーへのアプローチもしやすいのがショートムービーだということが分かりました!

Nateeが目指す未来とは

アナグラム

冒頭で「今後はTikTok以外の媒体のショートムービーにもサービス範囲を広げる」という事でしたが、媒体を広げていくにあたり、Nateeの採用方針も変えていくのでしょうか?

kojima

そんなこともないですね。今のところデジタルマーケティングの経験者よりも、「1日4時間TikTok見てます!」のような方のほうが、ショートムービー領域で活躍するイメージはあります。先ほどの媒体の文法を知っているかどうか、という話に近いですね。

ただ、 「TikTokをやりたい人」は基本的には採用しないようにしています。

アナグラム

TikTokに詳しい人を採用したいけれど、TikTokをやりたい人は採用しないとは…? 詳しくお伺いしたいです。

kojima

僕らはちょっと変わってるんですが、 「TikTokを売りたい会社」ではなくて「クリエイターさんという存在を応援したい会社」なんです。

「人類をタレントに」というミッションを掲げていて、個性とか才能を活かして生きる人を増やしたい、そういう社会を作りたいという強い思いが前提にあるんですね。

最近では「クリエイターエコノミー」と言われたりしますが、クリエイターさんの90%以上がタイアップ広告や、企業からの広告収入で生活しているという明確なデータが出ています。投げ銭やグッズはごく一部の話で、ほとんどは企業案件なんですよ。

僕らはあくまで戦略上のフィールドとしてTikTokを選んだに過ぎません。クリエイターさんが自分の個性や自己表現でファンを獲得して、Nateeが案件をご一緒することでクリエイターさんが生活できるようになったらいいなと強く思っています。だからこそ「TikTokがやりたい」「TikTokを売りたい」ではなく、クリエイターさんに対するリスペクトが強い人と働きたいんです。
何よりもまず、クリエイターさんの方に目が向いていることが大切なんですね。

もちろん企業にとっても必要な価値提供であるという自負はありますし、クライアントさんも非常に大事なのでそこはしっかりやりつつ、クリエイターさんに対するリスペクトは持ち続けています。社内のルールというか文化的にも、クリエイター「さん」という呼び方にしていたり、クリエイターさんを「使う」という表現は絶対にないようにしていますね。

「最終的にはブランドとクリエイターさんが共創する」を僕らはずっと言い続けているんですが、ブランドとクリエイターさんの間に立ちたいねという話はずっとしています。

アナグラム

これからNateeが会社として目指していきたい目標があれば教えていただけますか?

kojima

「人類をタレントに」というミッション、個性とか才能が活きる社会を作りたいって僕は10年くらい言っているので、それは本当にやりたいことなんだと思います。

創業4年で僕らからクリエイターさんに対してお支払いした金額が累計5億円を超え、それだけのユニークな雇用を生んでいるという見方ができると思っています。でも、5億円って僕らからするとメチャクチャ少ない。これを10倍、100倍にしていきたいんです。

特に今はTikTokに特化していて、限定的だなという力不足も感じています。広告市場が6兆円ある中で、「クリエイターさんがブランドから認められて稼げる」みたいな世界をいかに作れるかは、すごくチャレンジしがいがありますね。

実は新しい事業として、バーチャルの領域もやろうと思っています。

アナグラム

バーチャルとは、今までとはまた違った方向性のような気もします!

kojima

これからは、顔を出さない自己表現ってどんどん増えると思うんです。リアルに顔を出して活躍できる人もいればそうではない人もいて、そうではない人が実際は半分以上いるんじゃないかと。そこに僕らがサポートできる人がまだまだいるはず。アバターやメタバースのような、バーチャルの領域にひとつドメインを置いて新規事業をやってる感じですね。

僕らはGreat Companyと呼んでいるのですが、最終的にはサイバーエージェントやリクルートに匹敵するくらいの会社にしたい。その時にはたくさんの事業があるかもしれませんが、「あの会社ってすごくミッションに純粋だよね」「やってる事業はいっぱいあるけど、全部このミッションに繋がってるから素敵だよね」なんて言われたいですね。

アナグラム編集後記

創業から4年間TikTokにフルコミットし、大きな成果を上げながらも「TikTokはあくまでフィールドのひとつ」と言い切る潔さ、ミッションへの忠実さがとても印象的でした。

TikTokマーケティングについてのお話しももちろんとても面白かったのですが、Nateeさんがこれからどんな事業を展開され、「人類をタレントに」というミッションをどう実現されていくかに最もワクワクするインタビューとなりました!

TikTokアプリはインストール済みなので、まずは1本投稿してみようと思います。小島さん、ありがとうございました!

文:池田華子
編集:辨野 裕太/賀来 重宏
写真:賀来 重宏