究極の効率化は”短縮”ではなく、“やらないこと”|運営堂を運営しつつ名古屋で大学講師も務める森野誠之さん

  • 東海

趣味はサッカー観戦(サッカーはもう趣味ではなく生活の一部とのこと)、プロレス、歴史、Googleアナリティクス、ラーメン、ゲーム、アニメ、漫画、NFL、自転車…などなど。運営堂やアクセス解析という印象の強い森野さんですが、やらないことを削り様々な好きを仕事につなげるその思想を探りにインタビューさせていただきました!

面倒くさい…こそが原点

アナグラム

森野さんはアクセス解析という印象が強いですが、現在具体的にはどういった仕事をされているのか教えてください。

morino

肩書としては2つありまして運営堂の代表と大学関連の業務ですね。運営堂代表としてはWEB周りのコンサルティングやアクセス解析、「おしえて堂」という企業向けのなんでも相談サービス、セミナーや研修の講師などをやっていて、大学関連としては愛知大学の非常勤講師とMoodleというeラーニングプラットフォームの運営・サポートなどをやっています。

独立してアクセス解析を始めたのはGoogle アナリティクスが出始めたころで、ただ出てすぐくらいでそんなにニーズはなかったかと。でも、それまでってアクセス解析をするには有料のツールが必要だったので「おー!無料ですごいの出たなー!」と感じたのを覚えていますね。

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確かにそのころだとまだまだアクセス解析の需要はかなり低いですよね。一応入れてはいても全然見ていないとか、そもそも目標設定していないってところも多かったですし、アクセス解析でお金をもらうというのは一般的ではなかったかと。独立する前はどのようなことを?

morino

独立する前はWEBサイトの制作会社で営業をやっていたので、もともとWEBとかアクセス解析に近いところにはいたんですよ。当時はお客さんから結構怒られてましたね。作って3日後くらいに「全然問合せ来ないんですけど」と。それが月初に必ずあってですね。なぜかというと月内の売上を上げたいので必死に営業して仕事を取ってきて、何とか月末ギリギリで納品するじゃないですか。そうすると月末に無理やりねじ込んだ案件が月初に炎上して怒られるみたいな無限ループでした。全案件がそうではないのですが、病みますよね。

そういった状況でお客さんもみんな困っていましたし、作るだけ作ってほぼ放置されているようなサイトも多かったのでアクセス解析をしてちゃんと売り上げが出るようなサイトにすることって大事なんじゃないかと思って独立しました。

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それが2006年ごろということですね。独立してすぐに仕事はあったんですか?

morino

ないですよ。結婚もしていましたし、リアルにやばかったかな。でも妻は「日々帰って仕事の愚痴を言うくらいなら好きなことして稼いで来い!」という感じだったので反対はなかったですね。

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理解のある良い奥さまですね!ということは最初はやっぱり営業して仕事を?

morino

最初は知り合いに無料でアクセス解析やらせてくれない?とお願いをして、それで改善の提案を出して、その制作費をキャッシュポイントとしてスタートしました。当時は経験値があるわけでもないですし、まずは無料でやるしかなかったんですよね。名古屋の良いところは「無料で」というとみんな必ずやらせてくれること。東京だとそうはいかないんじゃないかなと思います。

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なるほど、Googleアナリティクスの黎明期からそのように経験を積んできて今の森野さんがあるわけですね。一旦その分野で「先生」という立場になるといろんなことがやりやすい環境が生まれますよね。業者として扱われるのではなくお客さんと対等な立場で仕事ができますし。

morino

まさにそうで、独立しようと思ったもう一つの理由は、営業をするとどうしても立場的に下になりがちなので業者のように扱われるのが嫌だったこと。とはいっても最初は仕事を頂かないといけないので、昼前くらいに起床して仕事をして、夜はだれかと飲みに行って飲みの席で仕事をもらって、帰って寝て、起きて仕事をして…というサイクルで働いてましたけど。でもそれだと独立した意味がない!と気づいてからはやらなくてもいいことをどんどん削っていって今に至ります。

私は夢とか野望とかは一切ないんですよ。とりあえず子どもが成人するまではしっかりと稼げればいいかなくらい。どちらかというと引きこもりで面倒くさがりな性格なので、一日中ゲームしてスナック菓子食べてぼーっとしている方が幸せです。

大学1年生の夏休みの時の話なんですけど、外に出るのが面倒くさくて1ヶ月間くらい誰にも会わず銀河英雄伝説やガンダムのビデオをレンタルしてずっと家に引きこもって観てたんです。そうすると人間って声が出なくなるんですよね。誰かと話そうとしても「あぅあぅ・・・」みたいな感じで(笑)。でもその時が一番幸せだったかもしれないっていうのがあって、当時のようなことができるように今仕事をやってるのかもしれません。

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それはなんともコメントがし辛い…(笑)。でも私の仮説なんですが、経営者って基本的にはめんどくさがり屋がほとんどじゃないですか?究極の面倒くさがりって仕事ができる人が多い気がするんですよね。

morino

面倒くさいからこそ必死に効率化しようとしますよね。真面目でコツコツという性格の人は「そもそも今それやる必要ある?」ということを効率化しようとしたりするので、実は遠回りだったり。効率化しようとなると工夫して時間を短縮しようとする人が多いんですけど、究極の効率化はやらないことですよ。

5年間休むことなく続けるメルマガ。その情報収集の秘密

アナグラム

森野さんと言えば毎朝必ず手動で配信しているというメルマガ、毎日堂も有名かと思いますが、メルマガを始めたのはいつ頃ですか?

morino

メルマガは5年前から配信しています。その前がブログだったのでそこからだと7年前ですかね。

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毎日を5年間、しかも手動でって、かなり大変そうなのですが…。

morino

最初のブログとかは1つ書くのに3~4時間かかってましたけど、もうその段階は超えていて、むしろ今はやらないと気持ち悪いですね。この前家族で金曜の朝から旅行に行った時も、金曜の朝にメルマガを配信してから出発という風に時間を調整したり。

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実際やり続けてどうです?もちろんそこからのお仕事などもあると思うんですが、何か自分の中で変化などはありましたか?

morino

多くの方に読んでいただいてためになっていればもちろん嬉しいですが、最初は自分の備忘録的に始めたので、やっぱり一番役に立っているのは自分ですね。あとはメルマガを毎日やり始めてからは体調にすごく気を遣うようになりました。でも正直誰か同じことをやってくれるのであれば明日にでもやめますよ。やります?

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あの情報収集とメルマガ配信はもう森野さんしかできないかと…(笑)。
森野さんといえばメルマガ!と我々の中ではなってますし、名刺代わりみたいな印象があります。いつもメルマガの記事ってどういう基準で選定されているのでしょうか?

morino

まずある程度分野によって信頼できるメディアって決まっているんですよね。それ以外はなんとなく目についた記事のドメインを確認して問題なさそうであればという感じです。あとは知り合いのブログや流れてきたツイートとか。SNSでフォローしてくれる方のプロフィールを見にいってその方が書いているブログが良さそうであればそれをRSSに登録したり、プロレスとか個人的な趣味の記事をピックアップしたりですかね。

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それを毎朝30分ほどでやっているんですよね、すごい…!メルマガ以外ではどういった経緯でお仕事をいただくんですか?

morino

ほとんど紹介ですね。アクセス解析関係の方であったり。営業はもうしないことにしました。営業をして仕事を取りに行くとどうしても業者になってしまうので、それであれば自分のスキルで選んでいただこうと。あとは孫請けのような多重構造案件もあまり受けないようにしています。一度多重構造案件で2万円でいいよ、と出した分析レポートがいろんなところを経由して100万円くらいになったことも…。

アナグラム

もはや何も言えない(笑)

morino

まぁ私の見積もりはかなり適当ですけど。いや、適当というのは言い方が悪いですが、基本的に一人でやっているので細かな見積もりを管理するのと、作成する工数を考えると適当に出した方がいいんですよ。内容と価格が見合うと思うのであれば受けていただいて、そうでなければ自分でやっていただくか、他に頼んでくださいと。でも金額でもめることはないですね。内容に関してもっと違うかと思った、とかはありますが、そういう場合はこちら側に非があることが多く、お金はいらないので終わりにしましょうと話しますそこのやり取りにリソースを割くよりは、適当でも早く解決したほうがいいので。

アナグラム

面倒くさいことを極力なくしたいんですね(笑)

morino

そう、結局私らがやっていることはプロダクトがあるわけではなくサービス業で、1人でやっていれば自分の気分が悪いと仕事にも家庭にも悪影響が出るのでそういうのは極力なくしたい。でも別に喧嘩して別れるとかいうわけではなく、お互い納得して合わなかったねという形で終わりますよ。繰り返しですけど、「究極の効率化はやらないこと」です。

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森野さんご自身がやらないという視点でいうと、運営堂では人を雇ったりとかはどうですか?

morino

めんd…。いや、過去に人を雇ったこともあるんですが、人を雇うとどうしてもアクセス解析以外のことをやらないといけなくなる。そうすると自分がやりたいことができなくなるので、今は人を雇う予定はないです。

パートナーとしてお付き合いしている方はいくつかいるのですが、最近は制作などの外注はできるだけ減らすようにしています。一時期売り上げがすごく上がったんですけど、その分制作の外注費がかさんであんまり利益出てないぞ、という時があったんですよね。忙しくなってるのに利益が出なくなるのであれば利益率が高い仕事だけしようと思って。

コンサルタントなのか、何でも屋なのか。WEBのコンサルティングからお付き合いを始めても最終的に店舗運営などの相談までのるケースもありますし。ただ入り口はやっぱりWEBの悩み事から来ますね。「SEOの順位下がったんですけど」とか「タグが動かない」とか「リニューアルしたい」とか。

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WEBで困ってどこに聞いたらいいのか分からない!という時の相談窓口になってるんですね。

morino

おそらく。でもたいていの問題は見た瞬間に原因が分かるんですよね。そうするとじゃああれやってみましょうとなって、やった結果を見て変わりましたよねと。それでもっと売り上げ伸ばしましょう、となればじゃあネット広告どうしましょうかとか、メルマガやりましょう、ソーシャルやりましょうとなって長くお付き合いいただく感じです。その中でライターやカメラマンのパートナーさんを紹介したり。

アナグラム

今同じオフィスに入られているグランフェアズさんともパートナーという関係でお仕事されてますよね。

morino

そうですね、一緒に仕事をすることもありますけど、しないことも。グランフェアズさんは私と違って皆さんしっかりされているので、集中して仕事をしたいときはここに来ることが多いです。ここに来る前はマンションの一室でやっていたんですが、甲子園野球を観ながら仕事をしたりしていたので、グランフェアズさんと同じオフィスに入ってからうち売上上がりましたからね。あ、こんなに仕事できるんだ!っていう。

アナグラム

我々も元々オフィスをシェアしていた口なので、シェアの良さといえばすぐ近くに聞ける人がいる関係性ですかね。特に地方でやられている方はその点で悩んでいる方が多い気がします。森野さんは拠点はずっと名古屋でやられていますよね?名古屋だから困ることが何かあれば教えてください。

morino

困るというわけではないですが、スキルを伸ばせば伸ばすほど仕事がなくなるなとは感じてます。もちろんすべてじゃないですけど、地方の場合は東京とは違って、「えっと…、そのレベルまで求めてないんですが…。」という状態になってしまうので、近寄りがたくなる。

あとは地方だと経営者とやり取りすることが多いので、細かなKPIというよりはとりあえず儲かれば何でもいいよという方が多いんですが、それで始めていざ実際に儲かるとお金を出さなくなる。予算を増やさずCPA下げましょうという思考になるんですよね。それだと潜在層を攻めることができないのでやがて縮小していくというケースは結構見てきました。

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よくわかります。CPAを下げることが目的になってしまっているとよくあるパターンですね。フェーズによってはCPAを上げてCVも増やすということも一つの正解ではあるんですけどね。

「おしえて堂」で企業の身近に聞ける環境を

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森野さんはコンサルのほかに「おしえて堂」というものもやられていますよね。あれってすごく良いサービスだと思いました!価格的にもサービス内容的にも法人では手が出しずらいので、個人でやってる森野さんのポジションでしかできないのではないかと。しかもおそらく来る質問って似たようなものが多いので、あらかじめ答えを用意しておけますよね。

morino

そうですね。例えば「今日急に数値が落ちた」とかはよくきますけど、よほどボリュームがない限り今日だけの変化を見ても意味がないので、もう少し待ってみたらどうですか?とか。実際に2日くらい待つと戻るんですよ。社内に聞ける人がいないとか下の人から聞かれても分からないので「おしえて堂」を導入するというところも結構いらっしゃいますよ。上の人にとってもそちらの方が楽なので。

あとは分からないことは強制的に勉強しなくてはいけないので、自分のためにもなります。どうしても分からないテクニカルなこととかはグランフェアズさんや知り合いに聞くんですが、快く回答してくれますね。実はここにメルマガが役立っていて、「いつもメルマガでお世話になってるんでいいですよ!」といって快く受けてくれる方が多いです。無料でずっと頑張ってきてよかったと思える瞬間です(笑)。

アナグラム

なるほど、私らも森野さんのメルマガにはすごくお世話になっていて頭があがりません…。

morino

そういった意味ではメルマガはまだ自分で気づいていないところでも役立っているのかもしれないですね。

大学生も社会人も好きなことをもっとオープンにした方が良い

アナグラム

話は変わりますが、大学で講師をするようになった経緯を教えてください。

morino

実は大学生にWEBについて教えたい!とかいう入りではなく、知り合いが愛知大学で同じく非常勤講師をやっていまして、欠員が出たのでという流れで非常勤講師をやることになりました。それで今は「総合マルチメディア論」という授業をやらせていただいています。大学講師になったのは時期でいうと独立して2年目なので10年前くらいかな。

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その「総合マルチメディア論」の中では普段森野さんが運営堂でやられているようなWEB周りやアクセス解析などを大学生向けに教えているんですか?

morino

いえ、正直大学生向けにそういった具体的なスキルを伸ばすようなことを教えても仕方がないので、もっと広い視点で授業をしてます。この前は授業の中でマーケティングの観点からJRAのキャプテン翼のゲームをやったりしました。あとはペライチでWEBサイトを作ってみたり、動画を作ってみたり、ざっくりとパソコンを使って何ができるのかということを教えていますね。

アナグラム

なるほど、確かに必要なスキルなんて仕事を始めてから覚えても遅くないですし、パソコンで何ができるのかを知っておくと大学生にとっては選択肢が広がりますよね。

morino

別に大学生にアクセス解析をしてほしいわけではないので、私としては選択肢を増やしてあげて、いろんな選択肢がある中でアクセス解析を選ぶも良し、プログラマーを選ぶも良しという考え方です。正直授業は結構ゆるい感じですよ。休みたければ休めばいいし、寝たければ寝ればいい、他のことをしたければすればいい、でもそれでできないと言っても教えないよと。

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森野さんの授業、大学生の時に受けてみたかったです…!授業の内容はすべて森野さんが自分で決めているんですか?

morino

自分で決めていますね。大学教員ってある意味個人事業主なのでわりとみなさん好き勝手やってると思います。でも最初に学生にどういう授業をやってほしいかというアンケートは取ってます。時代によってアンケートの内容も変わってくるのがおもしろくて、今年は「バーチャルユーチューバーってどうやって作るんですか?」っていうのがいくつかありました。いや、大学のパソコンじゃちょっと難しいよと。

10年非常勤講師をやっていると、当然ですけど大学生が使ってるサービスも10年前と全然違うんですよね。以前はmixiで今はほぼInstagramとLINE、あとは匿名でTwitter。Facebookは、登録はしてても実際に使っている人は少ない。でも大学生にはFacebookは登録してちゃんと自分の情報を載せておいた方がいい、自分が何者かをちゃんとわかるようにしておいたほうがいいよと伝えています。

アナグラム

今って企業の人事担当は必ず検索して調べますもんね。それで名前が出てこないとか、出てきてもFacebookに何も情報が登録されていないとかだと、企業側としては何も準備ができない。

morino

そう、大学生に限らずですけど。今仕事で初めて会う人でも全く真っ白な人ってどこか信用できないというか、あった時に何話したらいいかわからないですよね。いい出会いを生むためにも、不幸な出会いを生まないためにもある程度の情報は公開しておくべきだと思います。公開できない言いたいことはTwitterで言えばいい。

大体最後の授業の方で自分の好きなことを好きなだけパワーポイントにまとめて提出してくださいという課題を毎回出すんですけど、去年二次元にめちゃくちゃハマっている学生が一人いて、ひたすら二次元のことをまとめたパワーポイントを提出してきたんですよ。内容はよく理解できなくても、めちゃくちゃおもしろくて。無難な手堅いものを作ってくるよりはこういったものを作れる人の方がいいですよね。

アナグラム

分かります。このMarketeerで取材している皆さんも、それに関しては皆さん同じことを言っています。でも世の中そういった自分のオタクな部分を隠そうとする、というかそれが馬鹿にされるような印象があるもの事実ですよね。言えば必ずプラスになるのに、それまでそうじゃない環境にいた人はなかなか公にしない。今どきいわゆるオタクというだけで、変な偏見を持つ人はイケてないですし、もしそこを気にして公にできない方がいるのであれば、割り切ったほうがいい。

morino

もったいないですよね、それでチャンスを逃している。社会的によほどやばいものじゃない限り趣味は絶対オープンにした方がいい。私も歴史が好きだと言い続けていたら歴史のイベントで話してくれという依頼が来たり、プロレスが好きなのでプロレス会場の2階でアクセス解析のセミナーしたこともありますし。その時とかはセミナーの途中で普通にプロレスの選手が入ってくるんですよ(笑)

アナグラム

プロレス会場で(笑)

morino

趣味の話を出すと仕事の進み方が異常に早いことがあるんですよね。

アナグラム

ありますよね!そもそも言わないとオファーは来ませんからね。森野さんが公開して得している趣味などはほかにありますか?

morino

プロレス、歴史、あとはラーメンかなぁ。こうやってラーメンが好きですと話すじゃないですか。会社で1時間とか2時間話すよりも、一緒にラーメンを食べに行くと15分で仲良くなれるんですよ。だから打ち合わせが終わって、どこか美味しいラーメン屋さんありますか?と聞いて一緒に食べに行ってそこで仕事が決まるみたいな。ラーメンは本当におすすめで、ラーメン屋に行くならSNSに投稿したほうがいい。次にあった時にまたその話題で盛り上がれるので。

アナグラム

ラーメンは嫌いな人少ないですし、たいてい美味しいラーメン屋さんって一つは知ってますもんね。

morino

そう、趣味でつながることは多いかな。Google アナリティクスだけひたすらやってたら、すごい真面目で近寄りがたい人に見られちゃうと思うんですよね。しかも大学の非常勤講師っていう肩書だったらなおさら親近感わかなくないですか?なので、というわけではないですが今もスマホゲーム4つくらい掛け持ちしてて、日々のミッションでヒーヒー言ってます(笑)。ゲームの趣味でいうと過去ハマったのはウィザードリィ、ロマサガ、バイオハザード、FF、ドラクエ、サラマンダー、ツインビー、サカつく、三国志、信長の野望…挙げたらきりないですよ。

アナグラム

ロマサガ!ロマサガは2か3に限りますが、人生や仕事の縮図ですよね。自分より強い敵と戦わないと必殺技覚えないじゃないですか。仕事も同じで、簡単な仕事ばっかりしてても成長しなくて、ちょっと自分には実力が足りないかも…みたいな仕事受けたときって最初はなんでこんな大変な仕事受けたんだと後悔するんですけど、後々振り返ってみるとその仕事でめちゃくちゃパワーアップしてるんです。

morino

間違いないです。ゲームもやったほうがいいですよねぇ。ゲームもアクセス解析もこうやったらこうなるだろうという仮説を立てながら繰り返しプレイするという点では同じ。特に昔はWEB上に攻略法とかなく、ひたすら自分でやるしかなかったので自然とそういったところはゲームで鍛えられたのかも。分からないこと、できないことに挑戦するというのは、成長するためにはやっぱり大事ですよ。

アナグラム編集後記

森野さんが大学講師ということもあり、本記事は社会人の方だけでなくぜひ大学生の方にも読んでいただければ嬉しいな、という気持ちで途中書き進めていました。この取材をしていても、日々の仕事からもひしひしと感じますが、ゲームでもアニメでも歴史でもSNSでも、もちろん仕事でも、とことんやればどこかでそれが活きるタイミングが来ると思います。

そして、終始「面倒くさいことをやらない」ということを貫き通している森野さん。とても毎日膨大な情報源からキュレーションを行い、手動でメルマガを配信している方の言葉とは思えませんでした。「面倒くさい」は言葉が悪いように聞こえますが、森野さんのように優先順位がしっかりとしていれば、「面倒くさい」から生まれる行動(あるいは生まれない行動?)は良い結果につながるはずです。

文:賀来重宏
編集:阿部圭司/ヤン・フーゲンディック
写真:賀来重宏