売っているのはお菓子ではなく体験。箱の開封からワクワクを演出し徹底的に顧客へ向き合う|自分の好みにパーソナライズされたおやつが届く・スナックミーCEO 服部 慎太郎さん

  • 関東

月に1~2回、ちょっとしたご褒美がポストに届くところからワクワクが楽しめるスナックミー。自分の好みにカスタマイズされた人工添加物・白砂糖・ショートニング不使用、安心安全のおやつが8種類届きます。創業2015年9月、サブスクリプションモデルの新鋭D2C(Direct to Consumer、以下D2C)スタートアップ企業として名を聞く機会が多いスナックミーの創業者・服部さんが「こんなサービスがあったらいいな」と始めたこのサービス。徹底的な顧客視点のみならずお菓子業界そのもののあり方に向き合い、リアルフードという新しい市場開拓を目指す服部さんに、スナックミーを通じて描く理想と軌跡をお伺いしてきました。

きっかけは娘に安心安全なお菓子を食べさせたかった

アナグラム

スナックミーさんのお菓子はいつも美味しくて、社内でもファンが多いのでお話聞けるのが嬉しいです!服部さんは元々コンサル出身で製菓・食品業界にいたわけではないですよね。どういうきっかけで事業を始めたんでしょうか?

iitaka

ぼくがこんなサービス欲しい!と願ったのがスナックミーで、日本のお菓子に対する課題感から生まれました。

まず、ぼく自身がコンサル時代そこそこ激務で食事代わりにお菓子を食べているような生活だったんです。やがて子どもが出来て、買い物に行った際によくお菓子をせがまれるんですけど、袋の裏面の成分表を見たら、何か分からない化学名が気になってしまって。

そこから結局、素焼きのアーモンドとか見た目で成分が分かるシンプルなお菓子しか選べなくなってきちゃったんですよね。そうなるとスーパーで娘にお菓子をねだられても気持ちよく買ってあげられないのがもどかしくて。「子どもの頃のおやつってもっと楽しかったのに、これでいいんだっけ?」という気持ちがあったんです。

アナグラム

安心安全なお菓子を娘さんに食べさせてあげたい、そんな気持ちから始まったんですね。

iitaka

そうですね。後は、ぼく自身週末に開催されるようなマルシェへ行くのが好きでよく行っていたんです。生産者さんの声が直接聞けて面白いし、なにより安心安全なお菓子が買えるんですよ。特にドライフルーツは原料が果物だけで砂糖の甘ったるさも無く、柔らかい甘みが美味しい。マルシェにあるお菓子をもっと身近に出来たらいいなという気持ちからスナックミーというサービスを世に生み出そうと決めました。

アナグラム

素敵すぎる。ということは日頃からスナックミーのお菓子をご家族で食べているんですか?

iitaka

娘の名前で自宅にスナックミーが届くようにしています。ポストを開けた時に、スナックミーの箱が入っていると目に見えて喜んでくれるのでぼくも嬉しいですね。個人的には「なんかパパがお菓子の会社やっているみたい」と娘に自分の職業を分かってもらえて嬉しい。コンサル業は娘に説明するの難しそうなので。

アナグラム

お菓子は形があるものだし、お客さんからも直接反応が貰えてすべてがリアルですよね。

iitaka

そうですね。サービス立ち上げて、初めて買ってもらえた瞬間はめちゃくちゃびっくりしました。本当に売れた!みたいな(笑) ぼく含めて3人で創業したんですけど、他の2人はもっと驚いていたと思います。

ぼくは自分が欲しくて始めたサービスだけど2人は「これ誰が買うの?」ってターゲットの話し始めたりして。そうしたら予想以上に反応があってお菓子でいこうと創業メンバーみんなの意思が固まりました。

アナグラム

創業当時はどうやって集客していたんですか?例えばマルシェで出店とか。

iitaka

マルシェも出店しましたね!

ただ、最初に買ってくれた100人くらいのユーザーはぼくがFacebook広告を回して出会いました。サイトもWordpressで作って、当時は凝ったデザインとかもできなかったからテキストそのままのランディングページでしたね。そしたら特に誘導したわけでもないんですが自然と買ってくれた方がInstagramで投稿してくださり、じわじわと口コミで広がっていきました。ユーザー数もそれに比例して伸びていっていますね。

アナグラム

私たちの仮説だとD2Cのビジネスモデルに広告はあまり要らないと思っていて。スナックミーさんのように最初のユーザーを集める手段だったり、競合を超えるための拡大フェーズで投資するのはアリですが、出来るだけお客さんと一緒にどう世界観を育てていくかに思考を割いていくべきだと思うので、まさにその通りですね!すごい素敵な流れですね。なにより、多くのお客さんがお菓子に対して課題を持っていた証拠ですよね。

iitaka

当時は今みたいなデザイン性のある箱じゃなくて普通の段ボールにハンコを押しただけのシンプルな箱だったんです。それでも、たくさんのユーザーさんがスナックミーを買ってくれていることが嬉しかったですね!1人1人にパーソナライズしたお菓子を届けることは当初からやっていたんですけど、機械も無ければシステムも無いからお客さま1人1人のプロファイルを紙に出力して「この人はこれが好きそうだな…」と手作業で分類していました

そして発送などの作業は、当時、創業メンバーが住んでいたマンションの会議室を借りて、土日を使って創業メンバー3人で1つ1つ手作業で梱包までやっていました。梱包した箱をキャリーケースにありったけ詰めこんで…郵便局へ持ち込んでましたね。当時は今のようにお菓子のパッケージも統一していなかったので、パズルゲームみたいに箱詰めしていたからすごい大変だったなぁ。ラグビーボール状に段ボールがパンパンになってしまい、郵便局に何度もダメだしされたり(笑)

アナグラム

創業ならでは!って感じがたまらないですねぇ。箱やお菓子のパッケージを整え始めたのはオペレーションの為ですか?

iitaka

そうですね、ポスト投函に最適化してお菓子のパッケージも統一したから今すごいスピードが上がりました。それでも「今日は箱詰めの日!」と決めて定期的に今でも社員全員で発送準備をしていました、もちろんぼくも。

アナグラム

おお、発送準備は今も人力なんですね。確かにお菓子100種類から8種を選ぶと組み合わせがざっと1000億通り以上、自動化がなかなかネックになりそうです。

iitaka

パーソナライズで8種類を選ぶところはシステムにやってもらっています。創業時は短冊みたいな紙にお菓子の名前書いて目で見てピックアップしていて、そこから番号→バーコードと少しずつ進化してきてはいるものの、もっと効率化させたいところが正直なところですね。この辺りは専任がいて出荷システムも含めてぜんぶ内製で作ってもらっています。

アナグラム

なんというか、急にテック企業ぽいですね。

iitaka

IT業界出身のメンバーが多いからかもしれません。創業メンバーのCOOと出会ったのも、ぼくがDeNAに在籍していた頃でしたし。ぼくがDeNAでベンチャーキャピタル事業部にいて、彼は起業しようと相談しに来たんですよね。そこでなぜか「一緒にやるか!」と意気投合しまして。

アナグラム

そんな運命的な出会いってありますか!

iitaka

友達という感じではないんですけどなんか、お互い馬が合ったんですよね。今でも良きビジネスパートナーです。彼の前職がJTBで添乗員をやっていて全国渡り歩くのは慣れていたので、創業当初は道の駅の開拓もお願いしました。ただ、彼の味覚のストライクゾーンがそこそこ広くて、今ではちゃんとバイヤーを採用しましたね (笑)

アナグラム

道の駅の開拓と言うと…?

iitaka

スナックミーのお菓子は、自らマルシェに行って生産者さんから直接仕入れさせてもらったり、道の駅を全国回って地道に開拓していったんですよ。

道の駅で販売されている方って物凄いこだわって商品を作っているのにマーケティングや販売に明るくないことが多くて、彼らのモチベーションは「とにかく良いものを作る」ところにあるんですよね。

だから、販売は全部スナックミーがやるから一緒に作っていきましょうと輪を広げていきました。この業界は小売りが強くて、仕入れたにもかかわらず、賞味期限が迫ってくると返品されちゃうことも往々にしてあるんです。それって生産者さんからすると悲しいことだし、何より廃棄処分も発生してしまい好ましい状況とは言えなかった。

でもスナックミーはサブスクリプションモデルだから来月の出荷量が分かるんですよね。だから全部買い取り出来て返品は起きない。ここが生産者さんにかなり喜ばれますね。

中にはこれらを逆手に取って、他から返品された賞味期限ぎりぎりのものをスナックミーなら捌けると送ってこられるメーカーさんも若干いて苦労もありましたが、そういうところとはお取引するのを止めるなどして、現在の良い状態まで持ってこれました。

アナグラム

そういえばオフィスの入り口に賞味期限が近いお菓子が何点か置いてありましたね。あれは一体?(取材はスナックミーさんのオフィスで行われました)

iitaka

お客さまには3週間以上賞味期限があるものだけをお送りしているので、その期限を下回ったお菓子は社員やパートさんが社販で買って帰るんです。だから廃棄は基本無いです。あとは寄付もしています。お客さまにお送りする箱に…こうして封筒が入っていて。

iitaka

届いたお菓子がたまたま苦手とかダイエット中で食べられないとか、そういう時は同梱されている封筒に入れてスナックミーに送っていただけたら寄付を受け付けている場所へそのお菓子をぼくたちが届けるような仕組みです。

アナグラム

ちょっと待ってくださいね。それって郵送代をスナックミーさん側で負担しているから単純にコストがかかりますよね。回収するよりもお客さん側で捨ててもらった方がコストはかかりませんが、何か意図があるんでしょうか?

iitaka

2ヶ月に1回、ぼくがスナックミーのお客さんに電話でヒアリングをさせてもらう中で気付いたのは、捨てるって行為がめちゃくちゃ罪悪感を発生させて実は解約の理由になっていたんです。お客さんが嫌な思いをしてしまうならスナックミーが郵送代を負担して寄付した方がよっぽど良いと思って。封筒を入れる・入れないで A/B テストして、寄付した後にも解約せず続いているデータが数値で分かったので導入しました。

アナグラム

!! 1ユーザーとしてお菓子が届いたときは何気なく封筒見てたんですけど、とんでもないエコシステムが…。

iitaka

中には敢えて自分の好きなお菓子を入れて「これ美味しいから食べて!」みたいな方もいますね。

アナグラム

徳がすごい。全てがスナックミーのファンになっていく構造になっていますね。

お客さんから届いた評価やレビューは包み隠さず生産者さんに渡し、一緒に成長していく

アナグラム

生産者さんとの関係性について、廃棄が出ない点で喜ばれると先ほどお聞きしましたが、他に共感してもらえるポイントとかってあるんでしょうか?

iitaka

ぼくらスナックミーは、既存のメーカーさんからしたら競合認定するほど規模的に大きくない。だからか「なんか面白いことやってますね」ぐらいに業界の方に見ていただけることが多いんですよね。むしろスナックミー向けに商品作っていただけたりだとか、ぼくたちをパートナーとして見てくれていることが多い。

生産者さんも新たに良いものを作ったからもっとそれを広げたいって気持ちがあるけど、広める方法や手段が分からないところが多いんです。そういう方とスナックミーは相性が良いですね。

例えば、スナックミーの大人気商品のおさつチップスは創業当時から扱ってるんですけど、芋のサイズが大きくて少し食べにくいのと、袋にうまく入れられなくて一回やめたんです。そうしたらスナックミー用に小さく切って納品してもらえてるようになって、再開した今でも根強い人気を誇っているお菓子の1つです。あとは単純な話、食品業界はすごい古い業界なので、この領域で新しいことをやっていること自体が応援したくなるみたいで、そう言っていただける機会が多いです。

アナグラム

裏を返すとそれだけ既存の文化だったり習慣を変革するのが大変ってことですよね。

iitaka

生産者さんによっては発注の2~3割をスナックミーが占めていたりと、多くの方に応援していただきながら一緒に成長していってる感じです。そういう背景もあり、お客さんの評価やレビューが届いたら、包み隠さず生産者さんに渡すようにしています。

例えば、長くお付き合いしているおかきメーカーさん。今まで評価やフィードバックをお客さんから直接もらう機会があまり無かったそうで、店頭で売れたか売れないかしか指標が無かったんです。だからこそ、シンプルに実際に食べている人からの声が新鮮なんだと思います。スナックミーの為に新しいフレーバーを提案してくれるんですけど、そのフレーバーで星の評価(※1)が悪いと凹んでますね(笑)

(※1)スナックミーでは商品が届いた後に、同梱されていたお菓子の評価を4段階の星でユーザーさんがフィードバックする仕組みになっています。

アナグラム

まさにその評価で次回届くお菓子が変わるので、お客さんは自分の為に評価しますよね。だからこそ、有意性の高い、本音のデータが集まって良い仕組みだなと思います。

糖質制限しているユーザーさんの需要が分かれば生産者さんが糖質制限向けのお菓子を作ってるきっかけになるかもしれないですよね。道の駅に出荷しているお菓子を作っている会社さんの中には社員5~6人で通販やインターネットの知見がないところも多く、今までチャレンジしたくても出来なかったとかあると思うんです。

だけどスナックミーさんと組むことで自分たちの作ったお菓子を全国に広められて、しかもフィードバックまでもらえる、お客さんも生産者さんもスナックミーさんもみんなWin-Winでめちゃくちゃ素敵なお付き合いですね。

逆に、スナックミーさんが業界へ新たに参入したことで困ってしまう企業さんているんでしょうか?

iitaka

今は競合視されることってあんまり無い気がします。たまに興味ありそうな感じで取材申し込みとか、話聞きたいとか言っていただくんですけど、お菓子利益率低くない?折り合わなくない?と撤退する企業さんがほとんどですね。

アナグラム

参入障壁が高いわけではないけどアパレルや化粧品、サプリの方が分かりやすく収益が上がるし時間も短縮できるので、本当にお菓子が好き!こうしたい!という思想がないと共感できないし、ビジネス的に儲かるまでが難しそうに思えます。上辺の話だけでは刺さらないだろうし。

iitaka

そうですね。オペレーションにもかなり工数掛けているので、仮にタイムマシーンで過去に遡れたとして、もう1回スナックミーを立ち上げろって言われたとしてもやり切れない気がします(笑)サービスとしてスナックミーはぼくが欲しいと思い続けているのでやり続けてこれているという感じですね。

アナグラム

最初の頃みたいに道の駅を回って生産者さんに会いに行くとかも途方も無いですしね。

iitaka

はい、まさに。
最近は生産者さんからお問い合わせいただくことも増えてきました。ご自身でInstagramをされていてDM送ってくださったり、生産者さん同士のコミュニティで口コミ経由でお問い合わせいただく機会も増えたと思います。

ぼくたちが売っているのは物ではなく体験。目指すはエンターテイメント

アナグラム

オフィスのあらゆるところにミッションとビジョンが貼ってあってすごいスタートアップぽくて大好きなんですが、スナックミーの目指したい理想図って社員さんへ共有できている状態なんでしょうか?

iitaka

実は半年前ぐらいまでミッションやビジョンもなかったんですよ。ぼくたちは中長期的にちょっとずつ増えていくサブスクリプションモデルでということもあり、サービスのグロースが横這いぐらいのゆっくりだった時期があったんです。

そんな時に、社内からミッションが欲しいと声が上がりまして。ぼくの中ではぼんやりあったんですけど全然みんなに共有できてなかったので、社員も巻き込んでバリューまで作り込んで社内に共有しました。

アナグラム

伸びが緩やかになると内側から課題が上がってくる、組織にはある程度つきものですよね。

iitaka

身近な競合がいるとグンと成長すると思うんですけど。正直、スナックミーのサービスにおける競合が身近に居ないからどこ追えばいいかなと考えまして、「カルビーさん・森永さん・スナックミー」になりたいよねって社内では言っています。

彼らの手掛けるヒット商品は1ブランド大体100億円の市場なんですよね。だから、まずはぼくらスナックミーで1ブランド分を目指して並びたいよねという意味を込めています。

そもそもぼくたちが目指すリアルフード(※2)と言われる数百億円の市場はこれから作っていくもので今はまだほぼ無いんです。似たような市場で、日本にはオーガニック系の市場が小さいながらありますが、シンプルに原料を見て何が入っているか分かる、そんな市場をこれから作っていきたいんです。

(※2)リアルフード(Real Food)とは
目に見えて形のあるRealな素材から作られた食のことです。
究極のリアルフードは、そのままの野菜やフルーツ、ナッツなど。

アナグラム

うんうん。日本はオーガニック認証ひとつ取るのも難しいですしね。

iitaka

そうなんです。だから、ぼくらスナックミーのロゴがその認証の代わりになればいいなと思っています。スナックミーのロゴがあることでリアルフードとして認識されて、かつ「安心安全」の証になれる”概念”にしていきたいですね。

お客さんからは「スナックミーがプリン作ったらどうなるの?」とか、既存のものをスナックミーが作ったらどうなるのと聞かれるようになってきたので、この辺りは意識して展開していくべきだなと考えています。

アナグラム

夏にアイス作られていましたね。次にやろうと決めているお菓子はあるんですか?

iitaka

まだまだ妄想の域を脱してはいませんが、今興味あるのはお砂糖ですね。

アナグラム

まさかの調味料!

iitaka

スナックミーシュガーを作ろうかなと妄想しています。

例えば、塩は旨味がある岩塩みたいな良いお塩がありますよね。それのお砂糖版ってないよなと思って。現在、スナックミーで取り扱っている商品は、漂白されたお砂糖は使わないようにこだわっているものの、お砂糖ってどうしても甘ったるくなりすぎてしまうので、スナックミーならではのお砂糖を作りたいですね。甘味料はステビアとかありますけど個人的には味が苦手で。安心安全だし美味しいお砂糖って意外に無いんですよね。

アナグラム

壮大なリアルフード。それこそ醤油や味噌も検討できちゃいますよね。

iitaka

最近、小麦の代替品で米粉が出たりしていますよね。そのあたりも関心があります。

ただ、スナックミーをやる時に間食中心と決めたので野菜とか主食そのものは今後の展望には含めていません。コーヒーや紅茶、緑茶の飲み物は横展開があり得るかもしれないけれど…。やるとしてもグラノーラみたいな朝食系までかな。

アナグラム

構想から企画まで、基本的に服部さんが全部アイデアを考えられているんですか?

iitaka

ぼく、考えるのがめちゃくちゃ好きなんですよ。最近だと、既存の顧客満足度向上プロジェクトチームを立ち上げてカスタマーサクセス担当やデザイナーにも参加してもらい、チーム一丸となって意見を出して進めてます。

実は、スナックミーにはまだマーケ担当がいないんですよ。SNSはコーポレートが1〜2時間かけて日々運用してくれていますが、新規の企画とかはぼくが片手間で回している状況です。だから、今後の組織の課題としてマーケティング周りをまるっとお任せしていけるようなCMOの役割を担える方を探している真っ最中です。

アナグラム

聞いて驚いたんですけど、社員やパートさんの多くが元お客さんだとか。

iitaka

1号社員はまさにお客さんですね!スナックミーは届く頻度を2週間、4週間ごとで選べるんですけど、2週間ごとにスナックミーを注文してくれているヘビーユーザーの方からいきなりinfo宛に応募メールが来たんです。

応募メールは来たものの、その当時は人の採用を考えていなかったので「募集していないけれど応募が来た…」と創業メンバー3人ざわめきが起きましたね。でも「ここで断ったらサービス使うのやめられちゃうかも…!」と思ってとりあえず、一度会いましょうと。実はそのタイミングでは一度お断りをしたんですが、その方には半年ぐらいスナックミーでの作業を手伝ってもらっていて、最終的にその後入社していただきましたね。

入社後はPR中心に活躍をしてくれて「半年後に戻ってきます」と言って、ちょうど先月産休に入ったところです。その次入社した女性のエンジニアは、お客さんではなかったんですが、職探しじゃなくて「食」探しをしているなかで、スナックミーに関心を持って来てくれました。元々アメリカに住んでてヘルシースナック系のスタートアップで働いてた方で、リモートワーク中心で子育てしながら活躍してくれています。

アナグラム

仲間としてベストな形で採用されていますね。

iitaka

ぼくらが目指したいのは「カルビー・森永・スナックミー」じゃないですけど、デジタルネイティブのおやつブランドを作りたくて、そこに共感してくれている方も多いですね。

特に、食品業界出身の人だと今のスナックミーそのものというより、未来のスナックミーがどんな姿になるかを期待してくれている部分が大きいという感じですね。前職時代にスナックミーを見つけてくれて「食品系で新しいスタートアップが出てきたぞ」みたいな感じで、スナックミーに転職してきてくれているメンバーも何人かいますね。

最近だと、元はうちのお客さんで業務委託として一緒にお仕事してくれていたデザイナーが今月から入社してくれることになっています。

アナグラム

仕事を通じて人と人とのつながりが形成されていて素晴らしい関係性ですね。デザイナーの方は、ロゴのリスや箱、冊子など、スナックミーさんのブランドを構成する世界観を作り出されている方ですか?

iitaka

そうですね。あ、ちなみにロゴのリスははじめフリー素材で拾ってきたやつです(笑)

アナグラム

え!そうなんですか?まさかの。

ちなみに、気になっていたのですがお菓子を梱包する箱のデザインって毎回違いますよね?

iitaka

はい、毎月変えてます。ぼくらにとって、開封体験はすごく大事なんです。自分宛に何かが届いた瞬間ってすごくワクワクするじゃないですか。箱を開けてお菓子を目にした瞬間はもちろん、ポストを開封したときに「今回はどんなお菓子が入っているんだろう!」とワクワクして欲しい。つまり、ポストを開ける時、実際に箱を開ける時と開封体験は2回あると思ってデザインを毎回変えるようにしました。

アナグラム

元通販の支援などをやっていた身からすると、素直に大変じゃないかな?と思ってしまうのですが、箱の在庫管理とか…

iitaka

ちょっと少なめに頼みます。なので注文を4週間に1回にされている方とかはデザインが一個飛ばされてしまうことなんかもあります。でもそれは全くネガティブな話ではなくて、重要なのは「毎回」違うデザインが届くことです。

アナグラム

!!

参りました…毎回違うデザインの箱しかり、お菓子の賞味期限問題も社販でうまく回されているし、なんだろう、びっくりするほど無駄がない。流通や在庫管理に長けた方がおられたんですか?

iitaka

それがいなかったんですよ。本当に素人だけだったので、全て自分たちで試行錯誤を繰り返しながら学びました。今は食品業界出身が2名いますがそれまではひたすら手探りでしたね。

アナグラム

ちょっと考えられないですね。。。

ちなみに、マネタイズの方法の1つとして箱へチラシを入れたり試供品入れるなどの同封同梱広告など相性がよさそうだなと思ったのですが、今後そのような予定はありますか?

iitaka

大手の食品メーカーさんからお声かけはあったんですけど…全部お断りしました。

まだスナックミーのブランドが強くないうちに他社さんのモノを混ぜてしまうとブランドの世界観がぶれてしまうからやる予定もありません。

ぼくたちは物を提供しているのではなくサービスを提供しています。スナックミーは一回1980円お菓子8種入り、一個250円と考えると決して安くないです。だからこそ、ぼくたちはコンビニのお菓子と戦っているのではなく、カフェやタピオカとか体験に軸を置いたものと同じフィールドに行きたい。

そのための取り組みが箱のデザインだったり毎回封入している冊子。だから社内では「物を売ってると思うのは絶対やめよう。ワクワクや楽しさをいかに演出できるかが一番大事で、目指すはエンターテイメントだ」と話しています。

アナグラム

世界観を大事にされている服部さんの強い意思を感じます。

iitaka

ブランディングってモノを作って企業の価値感を押し付けがちなんですけどそうじゃなくて、お客さんと一緒に世界観を作って育てていくものなんですよ。

スナックミーでは、ユーザーさんとのやり取りはLINEで全部やっているんですが「コレ美味しかったです~!」とか「(スタンプだけ)」とカジュアルなLINEが届きます。そいういう繋がりはすごく大事にしたくて全部手動で返してますね。

iitaka

あとは、年1回、お客さん向けに清澄白河辺りのカフェを1日借りてスナックミーのお菓子食べ放題!みたいなリアルイベントをやっています。前回のイベントは百数十人ぐらいお越しいただけて、色々なお話を聞けました。やっぱりファンの方はありがたいな~としみじみ感じましたね。

お客さんの満足度最大化に向けて

アナグラム

サービス利用される方ってどこの県が多いとか傾向はあるんですか?

iitaka

野菜系のサービスは都心偏重などの傾向があるみたいですが、お菓子は47都道府県すべてからお申し込みがありますね。サービスへの流入がInstagramやTwitterなのでそこのユーザー人口に引っ張られて比率は東京が多いです。

あと、沖縄(離島を含む)や北海道も送料無料でやっているからか比率は他県と比較するとちょっと多いかな。ポスト投函で定形外郵便なので一応利益は立つ仕組みなんですよ。

アナグラム

離島でも送料無料はすごいですね。全国各地のファンとの交流を目的にリアルイベントやマルシェのお話があったように今後、各地に拠点作るとか、展望があれば伺いたいです。

iitaka

オフィス展開は考えていませんがリアル店舗はぜひやりたいと思っています!

iitaka

ぼくたちが取り扱っているものは「食」だから食べて味覚で確かめないと分からないことが多いんです。いきなり広告やSNSで知って定期購入を申し込むってハードルかなり高いと思うんですよ。今は食べてもらう為のタッチポイントが少なくて、不定期開催のマルシェで来たお客さんにも「ずっとスナックミーに興味があったんです」みたいな方も結構いらっしゃって。

いきなり常設じゃなくても、まずポップアップから始めて全国回ろうかなと構想を膨らませています。大阪とかは結構ご要望が多いんで行きたいなぁ。

アナグラム

素晴らしい!スナックミーという組織にスポットをあてると、他にやっていきたいことはありますか?

iitaka

採用・組織づくり・ブランディングですね!

スナックミーはぼくたち創業メンバーの下にずらっと社員やパートさんがいてミドルマネジメント層がいないんです。組織的な構造を考えていかないといけないし、所謂スペシャリスト人材を採用して来なかったからここは注力しないといけない。

特にD2Cって職種がめちゃくちゃバラバラで、スナックミーもオペレーション業務からバイヤーまで色々あるんですよね…。ただスキルだけ追うつもりはなくて、カルチャーフィットとのバランスをどう取るかを言語化していくのがぼくたち経営陣の課題になりそうです。

元お客さんやビジネスモデルに共感してくれた人たちで構成されている組織だから、もしかしたら新卒採用の方がぼくたちには向いているのかもと思います。ただ新卒を取ろうと思ったら絶対にミドルマネジメント層が必要なので、やっぱりまずミドル層の採用が目下の課題ですね。

アナグラム

弊社もそうですけど、無理に外部からマネジメント人材を採用するのではなくて、生え抜きでミドル層に育てるのも手ですよね。

iitaka

それは確かにありかもしれない。あと、ぼくたちのもう1つの課題が、大きな組織マネジメントをしたことないことなんです。コンサル時代も5~6人の少人数チームで動いていたので、そういう組織づくりは未知数だなぁ。

ぼく、ビジョナリータイプではなくプロダクトサービスタイプなので、その辺の役割の切り替えを演じるべきなのか、違う手段でいくのか考えていかないといけないですね。

アナグラム

服部さんは十分ビジョナリータイプに見えますけどね…!年明けからTwitterやnoteで積極的に発信されているのは採用が隠された目的だったり?

iitaka

いや、先述の産休に入ったPRの子に「スナックミーが全然取り上げられないのは服部さんの発信力が足りないからです!もっと発信しましょう!絶対note書いてくださいね」て半ば強制的に予定に入れられて(笑)

ちょうどD2Cやサブスクの文脈が話題を呈していたからその軸で年末年始に書き貯めて発信をしはじめました。あ、そういえばnoteを公開したら12名応募来ましたね。

アナグラム

12名!?時間投資対効果で考えるとめちゃめちゃ良いですね。

iitaka

note経由だとぼくがダイレクトにやり取りしますし、そのまま採用になった人もいるからスピーディーだったりでお勧めかもしれない。

発信とか、取材とか、ぼくあんまり得意じゃなくて取材を応じるようになったのは本当に最近からなんです。読みどおりD2Cやサブスクの文脈でお声掛けいただくことが多いので、そういった側面での露出は少しずつしていっています。

少し前にズームイン!!サタデーの番組で取り上げていただいたんですけど、テレビはすごいですね!「出てましたね」ってお客さんから連絡を頂いたりしたので、喜んでくれたのかなと思うと嬉しいです。

アナグラム

同時に今後の課題として「私しか知らなかったサービスがどんどん露出増えてちょっとさみしい」と思うお客さんが出てくるかもしれないですね。インディーズ時代から追っかけていたバンドがメジャーデビューして冷めちゃうみたいな。

iitaka

実際お客さんの移り変わりはあって、当時はそれこそ自然食品の代わりとして「安心安全」の文脈で買っていただいてたんですが、最近はどちらかというと「自分へのご褒美」として買われていく方が多いんです。毎回の入っているお菓子を楽しみに体験を求めている方が増えてきている感覚ですね。

ただ、ぼくたちスナックミーは既存のお客さんの満足度最大化を大事にしていきたいと思っているので、どうバランスを取っていくかはこれからもずっと考えていきます。

アナグラム編集後記

服部さん自身、かねてより関心があった食の中でもお菓子や加工食品はお客さん側からコントロールが難しいからこそ面白みがある!と今のサービスに決めたそう。マーケティア取材メンバー3人全員がスナックミー愛用者、社内でも複数名頼んでいることもあり取材開始前から聞きたいことが盛りだくさん。しかしそれを凌駕するほど透き通った服部さんの目指される青地図に、最後は「すごいですね…」のオンパレードでした。

実際にお菓子を箱詰めしている風景が見たい!とオフィスにお伺いして「昨日届いたお菓子が!」と工場体験に近しいわくわく感を堪能させていただきました。

文:高梨和歌子
編集:阿部圭司/杉山美和
写真:杉山美和/齋藤彩可