顧客が顧客を呼ぶインサイドセールス代行会社・セールスリクエスト誕生秘話|代表 原 秀一さん

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「BtoBスタートアップのインサイドセールスなら原さんのところにお任せしよう」

……SaaS企業やマーケティング界隈で着実に認知を広げているインサイドセールス代行会社・セールスリクエスト。なかでも代表の原さん(@sicgram)に対する顧客からの信頼は厚く、毎月案件の紹介が絶えないと聞きます。

今回はそんな原さんに「どうしてインサイドセールス代行会社として独立したのか」「顧客からの信頼を勝ちとるために大事なことはなにか」を取材しました。心に染みる、まっすぐな言葉が盛りだくさんのインタビューです。ぜひご覧ください!

インサイドセールスは真っ先に “得意” だと思った

アナグラム

BtoBマーケティング支援で有名な才流の栗原さんが「インサイドセールスなら原さんです」と太鼓判を押しているのを聞いたときから、「原さんっていったい何者なんだろう?いつかゆっくりお話を聞いてみたい!」と思っていました。本日はお時間いただきありがとうございます!

hara

そうやってご紹介いただけるのは本当にありがたいですね。まだまだ小さな会社ですが、おかげさまで毎月案件をご紹介いただいています。これからも目の前のクライアントに価値提供し続けることで、新しいクライアントを広げていきたいですね。

アナグラム

導入企業一覧にはスタートアップ界隈で有名な企業様がズラリと並んでいますよね。原さんご自身のインサイドセールス歴は長いのでしょうか?

hara

ぼくはもともと会社員としてフィールドセールスを10年ほどやってきた人間で、インサイドセールスに特化した経歴ではないんですよ。とはいえ、前職のインテリジェンス(現パーソル)や弁護士ドットコム時代から、仕事の7〜8割はアポをとることに費やしてきました。

どうすればアポがとれるのか、昔からめちゃくちゃ考え続けてきたんですよね。たとえば、訪問営業が当たり前の時代に電話だけで受注をもらったり、自分の見込客に週1でメルマガを送ったり。誰に言われるでもなく勝手にやっていました(笑)。

アナグラム

なるほど、インサイドセールスという職種ではないものの、近しいことは昔からずっとやってらっしゃったんですね。

hara

そうです。なので2017年前後に “インサイドセールス” という概念を初めて知ったときは「あぁ、これはいままで自分がやってきた仕事だしめちゃくちゃ得意だ」と感じました。インサイドセールスという職種が日本で広まったのは、まさに人生のターニングポイントだと思います。

アナグラム

インサイドセールスって、ひたすら行動量が問われるわ、フィールドセールスとマーケティングの板挟みになるわで非常にしんどい仕事だと思うのですが、原さんは得意なんですね……!すごいです!!!

hara

自分の強みはやると決めたことを無思考にやり切れるところなんですよ。電話で断られても「まあ仕方ないな」ってすぐに気持ちを切り替えられますし、モチベーションで仕事をしないので誰よりも行動量を維持できます。いままで4社で営業を経験してきましたが、どの会社でもそうやって成果を出してきました。

やると決めたことをやり切るって、営業職でもできない人が多いじゃないですか。みんな「テレアポしたくない」ってめっちゃ文句言いますよね(笑)。ぼくは「そんなの仕事だから仕方ないじゃん」と割り切っているので、苦でもなんでもないです。どうすればよりアポ率が上がるかなって、ひたすら創意工夫するだけですね。

アナグラム

こ、心が強い……!!!(涙)「インサイドセールス代行」で独立に至ったのはやはり得意だったから、でしょうか?

hara

はい。自分が100%価値提供できることじゃないと独立してもしんどいと思っていたので、得意な領域に絞りました。あとはなにより、間違いなくここに需要があると思ったからです。ぼく自身もそうですが、営業職って2〜3年経つと辞めちゃうんですよ。とくにインサイドセールスはモチベーションコントロールが難しく離職しやすい。人材不足はどの企業にとっても課題です。

そこでふと「インサイドセールス代行なら独立できるんじゃないか」と思い立ち、ビジネスマッチングのサービスから直接社長と話ができそうなスタートアップ企業を探して、営業をかけてみたんですよね。「自分はこんなキャリアの人間で、これからインサイドセールス代行で独立しようと思っています。ご支援させていただけませんか?」って。

アナグラム

なるほど、テストマーケティング的に営業をかけてみたのですね!

hara

すると4社中4社から「ぜひやってほしい」と言ってもらえたので、独立を決心しました。当時は「起業してダメだったら半年で会社員に戻ろう」くらいの気持ちでしたね(笑)。

アナグラム

受注率100%でのスタート、さすが過ぎます!2019年にセールスリクエストを設立してから約2年、会社員に戻ることなく順調に会社は成長していらっしゃるんですね。

hara

ありがたいことに、売上も1億円を超えることができました。唯一、新型コロナウイルス感染症が広がった2020年3月は顧客数が半減して焦りましたが、1回目の緊急事態宣言が明けた夏頃にはクライアントの半分が無事に戻ってきてくれましたね。

さらにこのタイミングで「営業部門を固定費ではなく変動費化したい」というニーズが増え、結果としてコロナ以前から売上は2倍に伸びました。

アナグラム

一度離れてしまったクライアントが戻ってきてくれるなんて、信頼の証ですね!

商談創出は企業のエンジン。然るべき報酬を

アナグラム

原さんご自身は得意であっても、会社として社員を率いてインサイドセールス代行をやっていくのはかなり大変そうです。採用はどのようにおこなわれているのでしょうか?

hara

インサイドセールスって横のつながりが強いので、関係者に会うたびに「セールスリクエストに合う人いない?」と紹介をお願いしています。あとは若手のインサイドセールスのキャリア相談も積極的に受けるようにしていて、隙あらば「うちで一緒にやってみない?」と声をかけていますね。

キャリア相談でよく聞くのは、セールスに集中したいのに雑務も任されてしまって「あれ、これ自分がやりたいことなんだっけ?」と疑問に思っているケース。スタートアップにありがちです。あとは報酬面の不満もよく聞きます。数年経験を積んでもなかなか給与に反映されないケースも多いようで、そりゃ今後のキャリアに不安も感じますよね。

アナグラム

なんと……!たしかにインサイドセールスは新しい職種なので、評価制度が整っていない会社が多そうですね(涙)。

hara

おっしゃるとおりです。だからこそうちは差別化のためにも報酬を惜しみません。インサイドセールスはこれからの営業のスタンダードですし、商談を生み出すことは会社のエンジンそのものです。めちゃくちゃ存在価値が高い仕事なので、一緒に働くメンバーにはきちんと報酬で還元したいと考えていますね。

アナグラム

セールスに集中できる環境も報酬も充実しているとあらば、セールスリクエストで働く動機が明確ですね。ちなみに、入ったもののやっぱりインサイドセールスがしんどくて辞めてしまった、なんてケースはあるものでしょうか?

hara

もちろん何人かはいますよ。なのでうちはまず業務委託として働く「お試し期間」を1ヶ月ほど設けるようにしています。マッチすれば正社員か業務委託、本人が希望するほうで働いてもらいます。現在は正社員5名、業務委託22名という割合です。

アナグラム

素朴な疑問なんですが、業務委託の人たちを束ねるのってますます組織運営が大変じゃないですか……?

hara

全然そんなことはないですよ。ぼくからすると正社員か業務委託かどうかは関係なく、どちらにもめちゃくちゃウェットにコミュニケーションをとります。業務でわからないことがあればすぐにZoomをつなぎますし、キャリア相談にものりますし、よくご飯も行きますね。

アナグラム

契約形態による壁はないんですね。きっと原さんはみなさんにとっていい兄貴分なんだろうな、とイメージが湧きました!

売ろうとすればするほど信頼は遠ざかる

アナグラム

さて、ここでズバリ質問なんですが……原さんがクライアントから信頼を勝ちとるために最も大事にしていることはなんでしょうか?

hara

会社対会社ではなくて、人対人として付き合っていくことをめちゃくちゃ重視していますね。たとえば定例のミーティングではよく雑談をしますし、プライベートで飲みにいったり遊びにいったりもします。ウェットに付き合っていくと業者感が次第に抜けて、”パートナー” になっていく感覚があります。

きっとなにかを売ろうとしている時点で、信頼って勝ちとれませんよね。売るマインドは隠しきれませんから。

アナグラム

……信頼を勝ちとる “手段” としてウェットに付き合っているのでしょうか?それとも元からそういうタイプなんですか?

hara

ぼくの場合は元からですね。ただ、それが成果につながるとわかっているので、ますます大事にしています。いろんな会社を見てきましたが、結局トップセールスってみんな人対人のコミュニケーションに長けているんですよ。なのであらゆる部署から評判が高い人が多い。一方で、自分一人でひたすら成果を上げようとする人は、たまに200%達成する月はあっても成果を上げ続けることは不可能だと思います。

アナグラム

コミュニケーション上手が成果につながるのは、いったいなぜでしょうか?

hara

結局のところ営業も総力戦じゃないですか。たとえばぼくは昔から決裁者のアポがとれたら役員に同席を依頼してきました。そうすれば受注率は倍に上がります。でも「自分一人の力で受注しなければいけない」と勘違いしている人は正直多いですよね。使えるカードは使うべきですし、それも実力のひとつだと思います

あとはコーポレート部門と信頼関係があれば申込書の回収スピードも全然違います。事前にお願いして手配してもらえばいいのに、自分で申込書を用意して不備があって月末に受注を逃す……みたいなのって本当にムダじゃないですか。人と人のコミュニケーションがとれていないと、こういう連携ができないんですよね。

アナグラム

なるほど。コミュニケーションに長けていると、会社の資産すべてを使って営業できるから成果が伸びる、ということですね。非常に納得しました!……しかしそれにしても、ウェットな人間関係を築くのって疲れませんか!?

hara

全然疲れませんよ(笑)。「とにかく周りにギブしよう」という価値観が自分の根底にあるからだと思います。インテリジェンス時代、自分の周りにめちゃくちゃギブしてくれる人たちが多かったんですよね。「あぁこのコミュニケーションは気持ちがいいから、自分もマネしよう」と気付かされました。

アナグラム

も、もはや原さんがまぶしく見えてきました……!!!(涙)

営業代行会社に売上目標がない理由

アナグラム

逆に、信頼を勝ちとるために “やらないこと” はなんでしょうか?

hara

自分たちが価値提供できない、専門領域外には口出ししないことですね。中途半端なアドバイスをしても成果につながらない可能性が高いので、専門領域外の相談をいただいたらパートナー会社を紹介するようにしています。たとえば、リードがない状態で「インサイドセールスやりたい」と言われた場合はマーケティングコンサル会社を紹介します。そうすることで信頼が生まれて、リードが増えたあとに改めてうちに問い合わせてくれるケースもありました。

アナグラム

原さんの場合、「フィールドセールス代行までお願いできませんか」と相談されることが多そうですし、間違いなく価値提供できそうですが、その領域には踏み込まないのでしょうか?

hara

フィールドセールス代行はやらないと決めています。正直そっちのほうが儲かるんですが、あえてやりません。それは安易に外注してはいけない部分だと思っているからです。フィールドセールス代行会社のKPIは質ではなく受注件数や売上ですよね。なので達成しようとするとどうしても無理やり受注しちゃうんです。

ぼくもずっとフィールドセールスをやってきたからわかります。「この案件ちょっと微妙だな」と思っても、数字を上げたいからとりあえず受注してしまう。ただそうやって始まった案件が上手くいくケースは皆無です。クライアントの満足度も低いし自分たちも疲弊する。単発のお金だけが入ってきます。リピートありきのサブスクリプション時代に、この営業スタイルはあまりに機会損失が大きいんじゃないかなと思いますね。

アナグラム

なるほど……!KPIが受注だと、どうしてもそういった力学が働いてしまうわけですね。いやぁ、私も身に覚えがあります(涙)。

hara

それもあって、実はセールスリクエストでは売上目標を設定していません。メンバーには「顧客に価値提供することだけ考えて仕事しよう」と伝え続けています

アナグラム

売上目標をもっていないとは驚きです!原さんのスタンスをメンバーに伝播させることで、セールスリクエストは成り立っていらっしゃるのですね。

インサイドセールス代行の第一想起を

アナグラム

最後に、これからどんなことにチャレンジしていきたいですか?

hara

インサイドセールスで困ったら原に相談してみよう、というポジションをとりたいですね。5年経っても10年経っても、いくら隣の芝生が青く見えても、インサイドセールスの軸はぶらさずにやり切ります。

あとは、いまの事業の延長線上、自分が価値提供できる範囲内での新規事業もゆくゆくはチャレンジしたいですね。

アナグラム

原さんからは本当によく「価値提供」というキーワードが飛び出しますが、私含めそもそも自分が提供できる価値を増したいと考える人たちは、どうしたらよいでしょうか……?

hara

月並みな回答にはなりますが、やっぱりいま与えられた環境で成果にこだわることではないでしょうか。100%無理だと思わない限り、まずダマされたと思ってやり切ってみる。これしかないと思います。

アナグラム

おっしゃるとおりですね(涙)。原さん、本日はまっすぐにグサっとくる言葉をたくさんいただきありがとうございました!

アナグラム編集後記

「みんながやりたがらない仕事だからやるんです」

先日原さんがポロッと口に出したこの発言が私にとってはものすごく衝撃で、この取材を申し込むに至りました。

そりゃまぁみんながやりたがらないからビジネスになるわけですが、そのやりがたらない仕事を会社として引き受け、バッチリ信頼まで獲得しているこの人はいったい何者なんだろう……と不思議だったんです。

いざお話を聞いてみると、そこには二人の原さんがいたように思います。決めたことを問答無用でやり切るドライな一面と、しっかりコミュニケーションを取りながら周囲を巻き込んでいくウェットな一面と。

この強烈な二面性こそが、原さんがトップセールスである理由、そしてセールスリクエストが成長している理由ではないでしょうか。

取材:賀来重宏/まこりーぬ(ライター)
文 :まこりーぬ(ライター)
編集:賀来重宏
写真:賀来重宏